「ベンチャー企業政府調達で優遇」に思うダイバーシティ

画像: reynermedia

2015.07.10

経営・マネジメント

「ベンチャー企業政府調達で優遇」に思うダイバーシティ

野町 直弘
調達購買コンサルタント

欧米ではサプライヤダイバーシティという概念は当たり前のモノですが日本の場合は遅れています。

このように米国において「サプライヤダイバーシティ」はごくごく一般的なものになっているのです。一言にサプライヤダイバーシティと言いますが取り上げられる対象企業は非常に多様です。
SB:Small Business(中小企業)
SDB:Small disadvantaged business(中小かつディスアドバンテイジ)
WOSB:Women-owned small business(女性が経営する中小企業)
VODB:Veteran-owned small business(退役軍人がオーナー)
MOSB:Minority-owned small business(ヒスパニック、先住民、アフリカ系アメリカ人等のマイノリテ民族がオーナー)
HUBZone:Historically Underutilized Business Zones
SDVOSB:Service-Disabled Veteran-owned small businessなどです。

これらの企業はSBA:Small business administrationなどの公共機関で定義され、登録されています。また、大手企業の殆どは各企業のWebサイト上に
"Supplier Diversity Program"のページを設けており、どの位の金額を購入しているかを毎年レポートおよび公開しているのが一般的です。
このようにダイバーシティが調達・購買においても着実に進んでいることが理解できます。

一方で日本での状況はどうでしょうか。すぐに思い浮かぶのが下請法です。しかし下請法はどちらかというと中小企業との取引を推奨する法律ではなく、中小企業との取引における義務および違反事項を定義しているものです。中には下請法が厳しいので下請法対象取引となる企業との取引を避けようという動きもない訳ではありません。これでは主旨が逆転してしまいます。また下請中小企業振興法における振興基準も基本は継続取引をしている中小企業との取引におけるルールを定義しているものです。やはり中小企業との取引を推奨する法律ではありません。
このように同じ中小企業他との取引の保護を目的にしたルールでありますが、米国における取引機会を公正につくることを目的としたルールと日本における取引を行う上で無理を強いることを禁じることを目的としたルールではその目的から大きく異なっています。

しかし、日本企業においてもグローバル化の進展が加速化していること、CSR調達も米国から遅れるものの非常に速いスピードで適応しなければならなくなっていること、等を考え併せると今後サプライヤダイバーシティを重視していかざるを得ないことは間違いありません。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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