チームビルディングというと実際のところ何に役立つのか分かりにくいと言う声を聞きます。「組織構築法」「組織力強化法」「チーム力を引き出すためのリーダーシップ理論」「部下のモチベーションを引き出す方法」などなど、チームに関わることを網羅的に包含していることが、益々チームビルディングを分かりにくくしているのだろうか。本記事がチームビルディングを身近に感じ取っていただける手助けになれば幸いです。
ところが一般に組織作りでイメージされる「チームワーク」は「協調的な行動」を意味することが多く、結果として輪を乱さない表面的な一体感を作ることが意識されます。さら
に、現在の組織創りを難しくしている要因には、行き過ぎた個人偏重の成果主義がもたら
す協働意識の軽視です。
結果として組織は個人商店化が進み、本来の組織創りの目的からどんどん遠ざかっています。
組織という同じ器の中にいる仲間のはずが、個々バラバラに自己の利害を優先して行動する集団に必然的になるのです。この状態では個々の個性や強みが分からず、得手不得手に
関係なく仕事が割り振られ、画一的な価値観に従って目標が決められます。
この画一的な価値観の上で幸運にも力を発揮できる人材は高い結果を出し、不幸にもこの価値観では力を発揮できない人材は評価されないという現実を作り出します。
私は「このような実情をどう思われますか?」とリーダーの皆さんに問うことがあります。
その回答は決まって「個々の個性を把握し、個性に合った仕事の割り振りと評価をすることは不可能だ」
というものでした。
もっともな回答だと思います。個々の個性を何らかの形で定量的に把握し、それに合った仕事を与えること、それは正に神業です。
部下のみなさんにとっても「あなたの強みや個性は何ですか」と聞かれても明確に答えられる方は少ないと思います。
しかし、組織変革のコンサルティングの過程で、現場の様々な階層の皆さんにインタビューをしていて強く感じることがあります。それは、「誰もが、自分の意見を持っている」
ということです。
メンバーの方に「自分の意見を上司や組織内で話すことはないのですか?」と質問すると「まったくないです。日常話すのは仕事のやり方や結果についてばかりですから」
と返ってきます。
「仮に聞かれたらどうしますか?」と質問すると
「仮に機会があっても言わないと思います。上司が真剣に自分の意見を取り入れてくれるとは思えないですから」と返ってきました。
上司は自分の考えや計画通りに部下や組織をコントロールすることに全力で取組み、部下は自分の本音ではなく、上司が受け入れてくれそうな意見を選んで発言している。
これによって表面的な協調が保たれ、必要以上にストレスを作らない。皆、これが常套手段だと考えている。
しかし、このような状況で高い業績を出せている組織はないのです。
さて、ここまでお話してきた上で再度「多様性を尊重する姿勢」とはどのような姿勢を意味しているのか見えてきたでしょうか。
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2014.05.11
2014.06.01
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。