企業戦略のパラダイムシフトにより、商品力の強化もさることながら、コミュニケーション力が企業の競争力の源泉として重要になってきました。そのコミュニケーション力を差別化することにより顧客を獲得・維持する戦略をCRM戦略といいます。
その際の競争力の源泉は、コミュニケーション力です。商品の優位性でなく顧客とのコミュニケーション力によって商品を買い続けてもらうということです。もっと平たく言うと、商品が悪くても、プロモーション力や営業力や顧客サポート力等の顧客との接点において商品以外の価値を提供することによって買ってもらうということです。
スーパーマーケットや家電量販店等でポイントカードが盛んに発行されてます。これは、小売業における重要なコミュニケーション戦略です。
パソコンメーカーが顧客サポートセンターを強化するのもコミュニケーション力の強化です。耐久消費財は、購入時のみならず購入後のアフターサービスの質により、リピート購入に大きく左右します。また、サポートによい印象を持った顧客は口コミにより他の顧客にも好影響を与えます。最近のビジネス誌等でも、各社の顧客サポートのランキング特集企画もよく掲載され、ますます顧客サポート力が商品の売れ行きを左右するようになってきました。
ブランド力を向上させることも、コミュニケーション力の向上と言えるでしょう。コマーシャルによる認知度向上をはかったり、有名人の利用による信頼度の向上を図ったり、CSR活動によって企業信頼度のアピールなどです。はたまた、品薄状態をつくり乱売しないことで高級感を演出するなど、顧客とのコミュニケーション施策によって、顧客に商品の品質等の客観的な価値ではない主観的な価値を向上させ、企業や企業の商品を選択し続けたいという気持ちを高めます。
企業にとって、市場の変化により商品は変わっていきますが、顧客は変わりません。したがって顧客とのコミュニケーション力を向上させ、それを他社に対し差別化された競争優位の源泉にすることは、商品に左右されない普遍的な競争力を身につけることを意味するのです。
物あまりで、しかも顧客のニーズは千差万別化されそのニーズの変化が益々早くなり、良いものを作れば必ず売れるという時代が終焉した昨今では、コミュニケーション能力が重要になっているのです。
今まで説明した事例はいずれもコンシューマ相手のビジネスについての例となっています。これが法人ビジネスを実施している企業は、このコミュニケーション力があたりまえに重要なのです。営業力を強化するのは、コミュニケーション力を強化することにほかなりません。法人ビジネスの多くは、営業活動により顧客と直接コミュニケーション活動を実施しないことには、商談も生まれません。しかも一回ではなくいく度となく繰り返すコミュニケーションを通じてやっと商談がうまれます。その商談を醸成させて提案活動をしてようやく受注に至ります。受注して納品すれば終わりというわけではありません。納品後の顧客サポートは重要で、継続した受注を得るためにはお得意様としてのコミュニケーションを続ける必要があります。このコミュニケーション活動において顧客の満足度を得られない場合、競合他社の入り込む余地ができます。顧客とのコミュニケーションが蜜であれば競合他社の状況もすぐに察知でき、対抗措置がすぐにうてるのです。
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