サービスサイエンスで「お・も・て・な・し」を科学する!

2013.10.21

経営・マネジメント

サービスサイエンスで「お・も・て・な・し」を科学する!

三宅 信一郎
株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

日本人の誰もが知っており、身についている「おもてなし」の心。 東京オリンピック誘致活動で、一躍有名になりました。 ただ、「おもてなし」とは一体何なのか? その定義は? 具体的に どうすれば効果的に発揮できるのか? という問に即答するには日本人でも難しいのではないでしょうか? 今回は、「おもてなし」をサービスサイエンスの視点で考えてみたいと思います。

セグメンテーションのメッシュを細かくすればするほど、事前期待の数は増えて、より深く事前期待を理解することはできますが、それに適合するための提供価値、つまり「おもてなし」は大変なことになりますので、この粒度をどの程度でやめておくかということもポイントのひとつです。

また、もうひとつの視点として、サービスサイエンスでは、サービス品質を「正確性」「迅速性」「柔軟性」「共感性」「安心感」「好印象」6つの評価軸で管理します。

どんなサービスも正確でなければなりません。また、世の中のビジネススピードはどんどん速くなっており、それにつれて迅速なサービス提供が求められています。特に海外から見て日本は迅速で正確でシステマティックな国として共通の事前期待がありますので、ここは譲れません。

お客様をまた日本に来てみたいと思ってくれるリピーターにするためには、個別の事前期待にうまく答えて初めて可能となります。 それは、特に海外からの客の多様な好みや要求に答えるためには、柔軟性が求められます。 お客様が何を望んでいるかを把握するためには共感性も欠かせません。

「おもてなし」を適切に発揮するためには、正確性や迅速性よりも、何より人間が得意とする「柔軟性」や「共感性」を発揮することです。

個人だけでなく、日本という国全体からお客様に安心感を抱かせ、スタッフの醸し出す「好印象」も大切です。

さて、こう考えますと、漠然と捉えていた「おもてなし」が、何をやれば効果が出るのかが多少なりとも分かっていただけたかと思います。

正確性や迅速性は、ヒューマンエラーを排除するために、より機械や装置、仕組みに任せて、人間は「おもてなし」に影響を与える、柔軟性、共感性、安心感や好印象を高める事に最大限注力することです。

そのためには、例えば映像技術、ICカード、RFIDなどの個体認識技術とネットワーク技術を活用して、顧客の識別を自動的に行い、顧客の属性情報を把握し、その情報に基づいて、人間が適切なおもてなしを適切な場面で行うなど、色々ソリューションは出てきそうですね。

入国したお客様に、空港で事前期待情報を入れた全国共通ICカードを無料で渡し、交通インフラ、買い物などは全てそれでOKという迅速性、正確性をアピールし、そのICカード情報をあらゆるイベント会場で係員が顔認証やスキャナーなどで自動で読み取って、その事前期待に応じて、共感性などを発揮し、人的サービスを向上させ、安心感や好印象を高めて、もて成すことによって顧客満足を大きく向上させ、大の日本ファンになってもらい、帰国してからも、リピーターとして再来日してもらうというのが小生が思い描くラフな体験シナリオです。

2020年に東京での開催が決まった東京オリンピックで、日本人総出で、各々がサービスサイエンスの考えを活用し、事前期待を上回る「おもてなし」を行って、世界各国から来る方々に心から満足頂き、熱狂的なリピーターになって頂けたら、日本人としても嬉しいですし、日本という国にとっても、大変よい評判が世界中で立つことと思います。

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三宅 信一郎

株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

事業力強化・新規事業開発・創業支援コンサルタント 自動認識基本技術者 (JAISA:(社)日本自動認識システム協会)認定

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