全国に店舗を増やし、快進撃を続けている丸亀製麺。 その強さの秘訣を、サービスサイエンス的アプローチを用いて、解き明かしたいと思います。 そこには、表面的には見えてこない、成程と思わせる仕掛けがあるのです。
丸亀製麺は、株式会社トリドールが運営する讃岐うどん専門店です。
ショッピングモールのフードコートや郊外に店舗を構え、釜揚げうどん等を低価格にて提供しています。
店内に一貫した製造・調理体制を持ち、直営多店舗展開を行っており、「讃岐釜揚げうどん」などのキャッチコピーで全国展開し、2009年11月には同業者大手のはなまるうどんの店舗数を抜いてセルフうどん市場における店舗数第1位となりました。
現在は、全47都道府県への出店を行い、2011年6月時点の店舗数は477店と、快進撃を続けている人気店です。読者の皆様も一度は行ったことがあるのではないでしょうか?
さて、ここで今話題となっているサービスサイエンス的アプローチを用いて、この人気の秘密を探ってみましょう。
小生が所属しているワクコンサルティングのサービスサイエンスコンサルティングチームでは、日本におけるサービスサイエンスの第一人者である諏訪良武氏をリーダーとし、日々サービスサイエンスの実ビジネスへの展開をテーマとして、啓蒙・普及活動を行っています。
そのチームのサービスサイエンスにおける考え方では、サービス品質を「正確性」,「迅速性」,「柔軟性」,「共感性」,「安心感」,「好印象」6つの評価軸で管理します。
どんなサービスも正確でなければなりません。また、世の中のビジネススピードはどんどん速くなっており、それにつれて迅速なサービス提供が求められています。
また、お客様の好みが多様化しており、それに答えるためには柔軟性が求められます。お客様が何を望んでいるかを把握するためには共感性が欠かせません。
サービス全体からお客様に安心感を抱かせ、スタッフの醸し出す好印象が大切です。
正確性や迅速性は成果品質に大きな影響を与えるサービス品質であり、安心感や好印象はプロセス品質に大きな影響を与えるサービス品質なのです。
普通の街のうどん屋さんは、大抵それほど種類の多くないメニューの中から注文されたうどんを素早く提供して終わりです。 つまり、「正確性」と「迅速性」という2つのサービスサイエンス品質をカバーしています。
丸亀製麺の場合は、この切り口からよく観察してみると、何と6つの品質の中の5つをカバーしているのです。
「正確性」と「迅速性」という成果品質をカバーしているのは当然ですが、うどんとトッピングの種類が極めて豊富であるので、その組み合わせによってお客様の個別の好みに合ったうどんを提供することができます。これは「柔軟性」といえると思います。
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サービスサイエンス
2013.10.21
2011.07.02