日本人の誰もが知っており、身についている「おもてなし」の心。 東京オリンピック誘致活動で、一躍有名になりました。 ただ、「おもてなし」とは一体何なのか? その定義は? 具体的に どうすれば効果的に発揮できるのか? という問に即答するには日本人でも難しいのではないでしょうか? 今回は、「おもてなし」をサービスサイエンスの視点で考えてみたいと思います。
つまり、多様な異なる事前期待に応じて顧客をセグメンテーションしない限り、どんな「おもてなし」をすればお客様は満足してくれるのか分かりません。 なぜなら、サービスサイエンスでは、サービスにおける顧客満足は、「事前期待」と「提供価値」との相対値で決まると考えるからです。
アフリカに行かれたこと、ありますか? 私は以前商社時代南アフリカに駐在しておりました。 経済都市であるヨハネスブルグは、まるで東京かニューヨークのように大都会でアフリカという印象はまるで無く、小生の事前期待を裏切ったのですが、四国と同じ大きさの野生保護区クルーガー国立公園に泊まり、像の群れの真っ黒いシルエットを背景に赤く燃える大きな夕陽を見たときに、涙がでそうになる程感動、感激し、これがアフリカだ!ということで南アフリカが一気に好きになってしまいました。この景色に出会う事が、小生がアフリカに対して持っていた「事前期待」だったのです。
一方、恐らく南ア周辺に存在する貧しい国から来た人が、南アに抱く事前期待は、自国にはないヨハネスブルグのような近代的で発展した大都会の雰囲気に浸ることかも知れません。
さて、外国人が日本に抱くであろう事前期待で、顧客をセグメンテーションしてみましょう。 今はグローバルな時代で、地域や国家間での違いはないと推測できますので、恐らく、東南アジアや北米、欧州など国や地域毎にセグメントするのではなくて、日本の文化への嗜好に応じてセグメントしてみてはどうでしょうか?
例えば、「日本のアニメが好きか嫌いか」「日本食が好きか嫌いか」という軸でセグメントしてみると、「日本のアニメが大好きで、日本食も好き」というセグメントには、どういったおもてなしが顧客満足を上げるのかを考えることになります。
これだけでは、具体的なおもてなしが決まらない場合は、例えばもうひとつの軸を加えて考えてみます。 3本目の軸は、例えば、「日本の都会が好きか嫌いか」という軸を入れることによって、日本のアニメと日本食が大好きで、都会好きというセグメントが出来ますが、このセグメントへのおもてなしは、例えば東京アキバでアニメと日本食同時開催イベントを打つという具体的なソリューションが見えてきます。
日本のアニメは好きだが、日本食は嫌いとなると、ベジタリアンの可能性もありますので、アニメを楽しめる場所では、ベジタリアン用の食事を準備しておくことは必須となると思います。
次のページ「正確性」「迅速性」「柔軟性」「共感性」「安心感」「好印象」
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
サービスサイエンス
2013.10.21
2011.07.02