中学生に向けた「働くって何だろう?」の授業スライドを大人の職業人であるみなさんにも紹介します。「働くことの根っこにある意識」をきちんとつくることは年齢に関係なく大事なことです。いま一度、新鮮な気持ちで仕事を分解してみてください。
しっかりと自分を持っている人は、配属された部署の役割は何か、自分が任された業務の肝は何か、職場の人間関係づくりで大事なことは何か、といった本質的なことをつかもうとします。そしてそのつかみとった本質を軸にして、自分をどう生かしていけばよいか、与えられた環境をどう活用していくか、といった意識で働こうとします。モチベーションの源泉が本質的な奥のところに置かれているので、強く安定しています。
「自律的な人財」ということがよく言われますが、まさに自分がつかみとった本質を軸(=律)にして、ぶれない判断をして能動的に振る舞えるのが自律的ということです。自律の「律」とは、規範やルールということです。自分の内に規範やルールを設けるためには、正しいとは何か、善いとは何か、美しいとは何か、といった本質的な価値を抽象していく能力が欠かせません。だからこそ、抽象化思考は訓練されなければならないのです。
以上、研修現場で感じ取る2点から、大人にしても学童にしても、なぜ「働くこと」の根っこの意識をきちんとつくることが大事かを述べました。本記事で紹介した、仕事を「能力・思い・表現」で分解するワークも、自分の意識を根っこのほうに下げていく作業のひとつです。
私は受講した生徒たちに「家に帰ったらお父さん、お母さんに、ねぇ、いまやってる仕事ではどんな能力が必要? お父さんはどんな思いで仕事をやってるの? お母さんの表現したものはどれだけお客さんにすごーいって言われてるの? ときいてみてください」と言いました。さて、もしあなたが自分の子どもから、こう質問されたらどう答えるでしょうか───。
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【中学生向け「働くって何だろう?」の授業をあなたに】
2013.07.17
2012.08.01
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。