ネットビジネスの勝者:オートバイテル・ジャパン

2007.12.03

営業・マーケティング

ネットビジネスの勝者:オートバイテル・ジャパン

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

「インターネットで、家や自動車は売れるのか?」 90年代後半、インターネットが普及し始めた頃、 こんな議論が盛んに行われましたよね。 実際のところ、こうした高額商品は、 やはり自分の目で確かめ、試してみた後じゃないと 購買を決めるのは難しい。

ネットで見つけた家(部屋)を買い物カゴに入れて、
ポンと購入ボタンを押すなんてことはできませんよね。

なので、インターネットでできることは、
基本的に情報収集、比較検討段階、モノによっては
価格交渉までということになります。

とはいえ、ネットによる消費者の情報収集や比較検討行動が
企業のマーケティングのあり方を大きく変えてしまったのは
確かです。

さて、当初多くの企業が参入した

「インターネットによる自動車販売仲介サービス」

ですが、現時点で唯一の勝者となっているのが、

「オートバイテル・ジャパン」
http://www.autobytel-japan.com/

です。

私は最近まで知らなかったのですが、
すでに他の競合企業は撤退してしまっていたんですね。
(I.M.Press Vol.139(2007-12)、トップインタビュー)

やはり、この業界でも

「Winner takes all」

の法則が当てはまったということでしょうか。

「オートバイテル」では、
現在発売されている400-500車種のカタログ情報を掲載。

もちろん、メインのサービスは、

「新車見積もり仲介サービス」

で、複数車種の比較検討、見積もり依頼、eメールによる商談
までを簡便に行えるのがウリです。

現在、同社に加盟しているカーディラーは900社以上、
店舗数では約5,000店に達しているそうです。

上記インタビュー記事の中で、
同社代表取締役社長、加登吉邦氏は、
次のような数字を披露してくれています。

---------------------------------

・日本における年間の新車販売台数(軽自動車含む)は、 
 500-550万台程度(2007年度)

・見積もり依頼者の2人に1人は新車を購入、つまり、
 年間で1000-1200万人の方が新車購入を検討
 (同社アンケート調査の結果に基づく推定値)

・オートバイテルのWebサイトユーザー数は年間2000万人、
 月間で150-200万人

・上記ユーザーの10%が新車見積もりボタンをクリック

・ユーザープロフィールは、性別で見ると
 男性7割、女性3割。女性ユーザーの比率が増加傾向にある

--------------------------------

加登氏は、

「インターネットによる自動車の販売仲介サービス」

において、同社だけが生き残れた要因は、

「継続」

という言葉に尽きると答えています。

このサービスの成功のカギ(KFS:Key Factors for Success)は、

次のページ「見積もりを提出できる加盟ディーラーの数」

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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