「講演依頼.com」に連載中のコラムを転載しました。
モチベーションなど、どうでもよいと言うつもりはありません。確かに、会社や職場、働き方や労働に対する考え方は変化してきていますから、勤労を美徳と考える日本人であっても、モチベーションアップが課題なのかもしれません。しかし、冒頭のエピソードにあるように、業績や組織が思い通りにいかないのは、モチベーションではなく、教育不足による知識・技術の乏しさが原因なのかもしれませんし、組織運営が稚拙だからなのかもしれません。また仮に、モチベーションアップが課題だとしても、その向上施策が効果を発揮しないのは、労働観の異なる欧米人向けのものを無思慮に導入しているからかもしれません。
いつの頃からか、うまくいかない原因を「モチベーション」に求め、モチベーションアップをテーマに研修などを行おうとする会社が増えました。幹部から新人までモチベーションアップを課題とし、売上不振は営業マンのモチベーションの問題となり、最近では「今後は女子社員のモチベーションを引き上げなければ...」といった会話がなされています。意味が曖昧なので使いやすく、従業員個々の内的な問題にできる気楽さもあるかもしれませんが、組織運営にそう簡単な話はありません。経営者も人事部も、本当にモチベーションが問題なのか、大切なのかと考える必要があるのだろうと思います。
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2015.12.19
2010.03.20
NPO法人・老いの工学研究所 理事長
高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。