規模は小さくても、大きな意義を追求する「偉大な会社」を目指す「スモール・ジャイアンツ」。アメリカを基点として、志高い小・中規模企業経営者のムーブメントが動きだしつつあります。
企業の強さというものは、人(のやる気やコミットメント)により決まるということは、経営者やリーダーの人たちなら日々実感していることであるはずです。そして、その人たちに力を最大限に発揮してもらうためには、今の世の中、お給料やベネフィット云々ではなく、働く人たちの心を束ね、奮い立たせる「意義」や「価値観」が必要であるということです。
ひとこと補足すると、今の時代、お客様に魅力を感じてもらえる組織というのは、「実質を伴う組織」です。ただ単に「カッコよさ」や「ステータス」だけがものを言った時代は過去のものとなり、「世の中のために良いことをする会社」から買いたいと生活者はみんな思っています。アメリカや日本など先進諸国の生活者は特にそうです。だからこそ、企業は自らの主義主張を明確にし、それを世の中に発信していくことで、生活者の真の共感を得ることが大切なのだと言えるでしょう。
さて、「企業文化」や「意義」や「価値観」などというと聞こえはよいが、それが会社の業績といったいどんな関係があるのだ、という疑問の声が聞こえてきそうです。
私のように、長年アメリカの優良企業を研究し、多くの経営者と会い、その話を聞いてきた人間に言わせれば、「優れた企業文化」や「共通の価値観」のある会社が長期的に成長する会社であることは明白です。それを裏付ける数多くの事例が存在するからです。
しかし、これをより客観的に立証し、それらの成功事例の「エッセンス」を抽出するために、今、スモール・ジャイアンツは三年計画で非常に野心的なプロジェクトに取り組んでいます。シカゴの大学と協力し、アメリカの小・中規模企業2,500社以上を巻き込んで、企業文化と業績の関連性や「HOW(企業文化を基盤として、長期的に成長・繁栄する企業をどうつくるのか)」の立証に乗り出しているのです。
このプロジェクトには前述のInc. Magazineも協賛していて、同誌が毎年発表する「アメリカで最も急速に成長している5,000社」の中から2,500社を選出し、企業文化に関するアンケート調査を行います。そしてさらに、その中から企業文化に特に優れ、しかも急成長している会社を選び、調査員が社内に赴いて従業員をビデオ・インタビューするという「ディープ・ダイブ(深耕調査)」を行うというものです。
私が代表をつとめる会社、ダイナ・サーチでは、今、アメリカ本部と協力して、スモール・ジャイアンツの日本支部を設立し、日本の小・中規模企業の経営者の皆さんを巻き込んでの活動に本腰を入れて取り組んでいく準備を進めています。
今回のカンファレンスには、ブラジル支部やフランス支部の代表者も参加し、必ずしも規模にはこだわらない、しかし世の中に大きなインパクトを与える偉大な企業「スモール・ジャイアンツ」のムーブメントがグローバルにも広がりつつあることを実感しました。
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企業文化
2013.06.18
2014.01.25
2013.04.23
2013.03.01
2012.11.08
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2012.05.11
ダイナ・サーチ、インク 代表
ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。