ちょっとしたしぐさ。ふとしたしぐさで人に与える印象はずいぶんと異なる。 そしてそこには、人の意外な人間性が表れると考えられないだろうか。
家路を辿る道すがら、今日は時間が早いので開いている書店に立ち寄る。
特に収穫はなく店を出ようとすると、とび職風の若者と出口でかち合う。
携帯に電話がかかってきてしまい、店外に出るところらしい。
何という髪型なのか、刈り込まれた髪にさらに細く剃り込みを幾筋も入れている。無精髭。ちょっと見た目こわそう。
一歩譲ると扉を開け、続く筆者のために扉を支え軽く会釈をして先を譲ってくれた。
思わず「ありがとう」というと、電話を耳に当てたまま、ニコリと微笑んできた。
次にドラッグストアに立ち寄り「のどスプレー」を購入。
レジで会計をした際、単品なので「そのままで結構です」とレジ袋を断ると、アルバイトと覚しきレジ係が右手にPOSレジのスキャナーを握りしめたまま、ズズッと品物をレジカウンターに押しつけ突き出した。
続いてコンビニ。
入り口を入ろうとすると、背後に人の気配。すぐ後ろに若い女性が続いているのに気づいた。
扉を引いて開け、女性に先を譲る。女性は無言で扉を支えている筆者の前を通過する。
晩酌のビールを一缶レジに持って行く。
レジ係のアルバイトと覚しき店員は、「ありがとうございます」と、缶ビールを両手で差し出した。
店ドアを通過する際のしぐさ。商品を手渡す際のしぐさ。
どちらも、ほんのちょっとしたことだ。だが、印象が大きく異なる。
人のしぐさをとやかく言うつもりはないが、「人のふり見て我がふり直せ」だ。
袖触れ合った他人と再び接することはないかもしれない。
しかし、人と人の関係が殺伐としがちな今日この頃。
少しでもお互いの印象を気遣う心のゆとりを持つことができれば、世の中少しずつ変わるかもしれないのにと思った次第である。
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2007.12.05
2007.12.13
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。