何事においても、軽微であればあるほどすぐに決めて取り掛かれるし、迷いなく前向きに行動できる。しかし重大なことは、なかなか決められないし、取り組み姿勢も恐る恐るになりがちだ。
同じように、死を重大だと思うと「どのように死ぬか。それまでどのように生きるか。」という大切な決めごとを先送りし、死に対して単に恐れや不安を抱いたまま時間ばかりが過ぎてしまう。大切な決めごとができて、前向きに充実した人生を送る人が増えるなら、死を軽く考えるのも悪くはない。死に方と死ぬまでの過ごし方が、腫れ物にさわるような、触れてはいけないテーマではなく、身近で気軽に話せるテーマになれば、年寄りの老後の充実だけでなく、若い世代にとっても大きな刺激や学びとなるはずだ。高齢化社会が死を身近なものにし、その結果、死というゴールを意識して人生を送る人が増えるなら素晴らしいことである。
(NPO法人「老いの工学研究所」のHPに寄稿したコラムを転載しました。)
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高齢社会
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NPO法人・老いの工学研究所 理事長
高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。