売上を5年間で7倍にした驚異のヨガ・ウェア・メーカー、ルルレモン。「カルトライク」と称される企業文化の強烈な求心力が強さの秘密。
いわば、ルルレモンの顧客は「洋服」を買っているのではなく、ルルレモンという「イデオロギー」と「メンバーシップ」に対してお金を払っているのです。ルルレモンのコア・パーパス(存在意義)は、『平凡から偉大さへと世界を変える』です。ルルレモンの「マニフェスト」に謳われている価値観(コア・バリュー)の数々・・・、『人生に予行練習はない』、『友情はお金より尊い』、『前向きな考えを選べ』・・・などに顧客はひかれ、そんな生き方に共感してルルレモンの商品を買っていきます。
ルルレモンは「コミュニティ」です。ルルレモンの店舗では週に一度無料ヨガ・クラスが提供されます。そして、店員は、周辺地域でヨガを教えるインストラクターやその他アスリートを「アンバサダー」としてリクルートしてくるそうです。「アンバサダー」は、店舗でヨガ・クラスを教えたり、商品や店舗に関するフィードバックを提供したり、広告塔としての役割を果たします。各店舗に行くと、「アンバサダー」の写真がポスターにして掲示してあります。
店舗が、ヨガとルルレモン的生き方に共感する人々が集まる場所としてかたちづくられているだけではなく、店員も、ルルレモン・ブランドを背負い街に出て行くという意識的な活動をしているというわけです
ルルレモンの成功に目をつけ、多くの企業がヨガ・アパレルに手を染め始めています。まず、ギャップが展開する「アスレタ(Athleta)」。ギャップほどの財力をもってすれば、ルルレモンの商品やマーケティングを模倣するのは難しくはないし、実際そうしていますが、ルルレモンが強いのは、そのブランドの基盤となる企業文化と価値観を設立当初から入念に築きあげ、今なお徹底して追い求めている点です。「スタイル」は真似できても、「価値観」を容易に真似することはできません。「信じるもの」や「夢」の上に旗を立て、そこに共感者たちを集めること。これからの企業にとって、いかにそれが重要かを物語ってくれる一例だと思います。
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企業文化
2013.06.18
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ダイナ・サーチ、インク 代表
ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。