『人間失格』と「日本酒」の復活

2007.11.26

営業・マーケティング

『人間失格』と「日本酒」の復活

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

今年の夏ごろのことです。 長女(中2)が、 「太宰治の『人間失格』の本を買って買って!」 とせがんできました。 田舎にある古い日本文学全集の中に、 『人間失格』も入ってたから送ってもらおうか? と私が答えたら、娘は、 「集英社文庫のものが欲しい」 と言うのです。

聞くと装丁が新しいらしい。

ただ単に外側のパッケージが変わっただけで、
あの純文学小説を買いたいのかと苦笑したものです。

実際娘に買ってあげた集英社文庫の本を見てみると、
表紙はもろマンガなんですよね。

「デスノート」の小畑健氏作。
中身は純文学だけど、見た目は「ライトノベル」。

そして、新装丁版『人間失格』は、
13万部を超えるベストセラーになりました。

このパッケージリニューアルの成功を見ると、
古いイメージを持つ商品のデザインを大胆に変えることで
イメージを刷新し、新たな購買層の関心を呼び起こすことが可能だ
ということがわかりますね。

もちろん、「中身が優れていること」が大前提ですが。

さて、同様の試みが求められているのが、

「日本酒」

でしょう。

日本酒の低迷はずいぶん以前からですが、
今や日本酒のシェアは酒類全出荷量の9%に過ぎない
厳しい状況です。
(ちなみに、ビール類は35%、焼酎18%)

また、全国の酒蔵の数は、
50年前は4000蔵以上ありましたが、
現在は約2000蔵と半減してしまっています。

実は、世界に目を転じてみると、
爆発的な和食ブームに伴い、「日本酒」に対する評価も
どんどん高まっています。

しかし、足元の国内では、

古臭い、オヤジっぽい、悪酔いしそう

といったネガティブなイメージがありますよね。

こんなイメージが払拭できないのは、
結局のところ、若年層があまり飲まないからです。

そして、若年層があまり飲まないのは、
若年層に対して魅力を感じさせることができていないからです。

特に、コンビニに置いてある「カップ酒」は、
もろ「オヤジのための酒」というイメージを与えますよね。

日本酒党の私も、コンビニでよくカップ酒を買います。

しかし、コップ酒を飲んでいる自分を引いて眺めてみると、
自分が既に「オヤジ」であることを再認識させられるため、
ちょっとしたわびしさを感じざるを得ません・・・

そんな今、日本酒の新商品が、
ファミリーマートのオリジナル商品として発売されています。

*「粋ボトル」シリーズ
http://www.family.co.jp/goods/recommend/ikibottle/index.html

上記商品の開発の模様は、
先日の「ガイアの夜明け」でも放映されましたし、
実際ファミマで購入した方もいらっしゃると思います。

現在4ブランド(日本盛、白鶴、月桂冠、松竹梅)が
店頭に並んでいる「粋」シリーズの特徴は、

「広口アルミボトル」

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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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