Numberという雑誌は、ほとんど読んだことがない。しかし、この人が表紙の時には自然に手が伸び、財布に手がかかっている。その人の名は三浦知良。言わずと知れた「キングカズ」である。しかも、この号の特集記事が「The Choice, A Way of Life:選択の人間学」と来ているじゃないか。18人のアスリート達の選択の人間学が掲載されている。どの人の話も、正に人間学。自分の生きざまに照らし合わせて、興味深く読んだ。
②トップで長く活躍したい
③パイオニアになりたい
つまりこの唐突な“びわ湖”という1ページは、大谷の夢を叶えるために、アメリカに向かって舟で漕ぎ出るのが近道のように思うかもしれないけど、日本という遠回りに思える陸路を行った方が結果的には近道だよという、大渕からのメッセージだったのである。
ここまで、読んで僕は唸ってしまった。
実に戦略的に説得の仕方を考えている。
記事では、山田正雄GMが、大谷翔平君が、日本の球団に指名されるために必要な10月15日前にプロ志望届を出し、ドラフトの4日前にアメリカに行くと言ったことから、本人は何かしら悩むだけの材料があると踏んで、大谷翔平で行こうと決めて、説得の戦略を考えていたのだという。
これを読んだ栗山英樹監督は、こう言った。
「いったい何を言い出すのかって最初は思ったけど(笑)。でも、説明を聞いて、これ、すげえって思ったよね。あの資料はホントにすごい。あれを読んだら、オレだってファイターズを選ぶよ。ああいうページを入れた大渕の思いって、ファイターズはこれだけのノウハウを持って、それをきちんと人に伝えて、人を成長させようとしてるんだということの表れだと思うんだ。野球選手を育てようとしているんじゃなくて、人を育てるノウハウを作ろうとしているプライドと誇りがあるから、今がよければという発想がなくなる。プロ野球全体のことや、ファイターズの将来のこと、大谷君の人生、そういうことを大渕が本当に考えていたからこそ、少しずつ大谷君の中で何かが変わっていったんじゃないかな」
この資料を中心とした、日本ハムの説得に、大谷翔平君は、「こうだというふうに決めつけずに、全部聞いて、資料もしっかり読んで決めた方が納得できる」と感じたという。
6ページの記事から僕は、「急がば回れ」の大切さと、人を説得するということの戦術について考えさせられた。
たまには、スポーツ雑誌も読んでみるもんだね。
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今野 誠一
株式会社マングローブ 代表取締役社長
組織変革及びその担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。 設立以来15年、組織変革コンサルタント、ファシリテーターとしてこれまでに約600社の組織変革に携わっている。