「聖夜」でなく「性夜」としてのクリスマス商戦

2012.12.01

経営・マネジメント

「聖夜」でなく「性夜」としてのクリスマス商戦

坂口 孝則
未来調達研究所株式会社 取締役

ブラックフライデーに入り、クリスマス商戦は本番を迎えた。アメリカと日本のクリスマス商戦を比較すると、恐るべき文化差異が見えてくる。

プレゼントに領収書(ギフトレシート)を添付するとは、なんとミもフタもないことだろうか、と日本人としては思うけれど、合理的といえば合理的だ。最近は、米国ではずばりiTunesやAmazon等のギフトカードを送る比率が上がっている。現金同等物を送るとは、これまた合理的というべきか。

・日本のクリスマス商戦

さて、日本に視点を移そう。華やかな米国クリスマス商戦とおなじく、各百貨店では年末商戦にむかって割引セールを繰り広げている。ただ、日本の場合、近年の特徴なのは、イエナカ消費が進んでいることだ。つまり、外食で高級ディナーを食べたり、繁華街に繰り出したりするのではなく、室内で楽しむ志向が拡大している。2011年の東日本大震災以降は、クリスマスは家族と過ごしたいとする人たちが増えている。不況とあわさって、家族の絆と節約志向が顕著だ(正確には、高級ホテル派とイエナカ派で二極化している)。

これまで百貨店同士が争っていたところ、いまや百貨店のライバルはコンビニエンスストアだ。コンビニエンスストアでクリスマス食材を買い求めるひとたちは急増し、ケーキやシャンパン、クリスマスツリーにいたるまで需要を取り込もうとしている。プレゼントで堅調なのは子どもや孫向けのおもちゃ・ゲームで、それ以外は「身近で」「安く」「手軽に」というわけだ。

セブンイレブンはAKB48を活用し大々的なキャンペーンをおこなっている。ローソンは魔法少女まどか☆マギカのケーキを扱い、ファミリーマートはなんと初音ミクだ!

おせち料理も百貨店からコンビニエンスストアで注文するひとたちが増えている。日本におけるクリスマス商戦は、年末年始すべて引きこもってコンビニエンスストアさえあれば完結する。米国と違って、こまやかなサービスを発達させてきたコンビニエンスストア国家日本が、わたしたちに良い影響を与えるのか悪い影響を与えるのか、それはわからない。

ちなみに、私がコンビニエンスストアのアルバイト氏と話していて面白かったのは、12月24日にはクリスマスケーキ等の食材だけではなくコンドームがものすごく売れることだ。国内のコンドーム市場は15年前とくらべて約半分といわれている。コンドーム離れが嘆かれている(?)日本だけれど、さすがに12月24日は性交総数が増えるためか。
日本で売られているポリウレタン製コンドームは、世界のなかでも相模ゴム工業とオカモトの2社が群を抜いている。かつて「超近距離恋愛0.03ミリ」と傑作コピーを出したオカモトも、いまでは厚み0.02ミリのポリウレタン製コンドームを発売している。

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坂口 孝則

未来調達研究所株式会社 取締役

大阪大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務に従事。未来調達研究所株式会社取締役。コスト削減のコンサルタント。『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎新書)など著書22作。

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