格安航空会社(LCC)のヒミツ

2012.11.12

経営・マネジメント

格安航空会社(LCC)のヒミツ

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

格安航空会社(LCC)のビジネスモデルの特徴は、 高い品質と驚く安さ を両立させていることです。 「高品質」と「低価格」という二律背反的課題をどのように解決しているのでしょうか?

・手荷物事故発生率
 (預かり荷物の紛失などの事故がどの程度発生したか)

世界のLCCの実績を見ると、実は、既存大手航空会社よりも、これらの指標の数値がいい。

例えば、欧州の某LCCの「定時出発率」は

90%

であるのに対し、既存の欧州大手航空会社は80%台です。

「就航率」も既存航空会社を抑えてトップ。

「手荷物事故発生率」は、数字が低いほど優秀ですが、前述の欧州LCCはわずか

0.6%

なのに対して、既存航空会社は10%を超えているのです。

このように、機材の効率稼動を追求することが、結果的に「航空旅客サービス」の品質向上にもつながるのがLCCの強さだと言えますね。

他にも、コスト削減の工夫として、利用する航空機を燃費の良い機種1種類だけに絞ることで、

・パイロットの教育コスト低減
(航空機の場合、航空機の種類毎にそれぞれ専用の免許が必要です)

・整備コストの低減

を実現。

しかも、基本的に

「新造機」

をリースして、短期間で新しい機体に更新することで故障が圧倒的に減るとのこと。

これもまた、機材の高稼働に寄与すると同時に、

「安全性」

の高さにもつながる点が実に面白いところです。

ところで、こうした低価格のビジネスモデルが登場すると、一般には、既存企業の顧客が、安さに惹かれて流れてしまうものです。

しかし、LCCについては、既存航空会社の旅客をほとんど奪っておらず、むしろ、新たな需要を生み出しています。

新規需要の多くは、これまでは、電車、バスなどを利用していた人々がLCCを利用するようになったり、以前よりも旅行の回数を増やした結果なのです。

他国では、ビジネス目的では既存航空会社を利用し、家族旅行ではLCCを利用するといったように上手に使い分けられています。

日本でも、そうした使い分けがこれから普及していくのでしょうね。

*以上は、ピーチアビエーション社長、井上慎一氏の 夕学五十講でのお話も参考にしました。

⇒ 受講生レポート「アジアの架け橋 LOVE & PEACH」

*参考文献

『「格安航空会社」の企業経営テクニック』

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