多くの競技スポーツにおいて、地元で行なわれるホームゲームの勝率は、敵地で行なわれるアウェイゲームよりも高い。 これは明確に数字として示すことのできる事実ですが、地元開催だと、ホームチームが勝つことが多くなるのはなぜでしょうか?
よく言われる理由としては、以下のようなものがありますね。
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・アウェイチームは遠征の長旅で疲れているから
・アウェイのゲームはしばしば過密日程になりがちで、アウェイチームの疲労が蓄積されやすいから
・地元のファンの熱心な応援、あるいは恫喝(笑)で、ホームチームのやる気が高まるから
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ホームチームが勝ちやすい理由はどれかひとつに絞られるわけではありませんが、直感的に一番影響が大きいと思われるのは、やはり、
「地元ファンの応援」
でしょうか?
ところが、シカゴ大学ビジネススクール教授、トビアス・J・モスコウィッツらが、サッカーやアメフト、野球、アイスホッケー、バスケットボールなど、過去数十年に及ぶ膨大な試合データを緻密に分析したところ、上記3つの理由のどれも、ホームチームの勝率に影響を与えているという結果は得られなかったのです。
では、何がホームチームの勝率を押し上げていたのでしょうか。
それは、審判の「地元びいき」的な判定だったのです。
ホームゲームとアウェイゲームで比較すると、ホームチームに有利な判定が下されやすく、一方アウェイチームに不利な判定が下されることが多いということが数字として明確に現れてきた。
例えば、野球で言えば、ホームチームのバッターは見逃し三振が少なく、フォアボールが多くなるのだそうです。
ストライクかフォアボールかは、最終的には審判の主観的な裁量に委ねられています。もちろん、誰が見ても明らかなストライク、あるいはボールには、主観的判断はほとんど入り込めません。
しかし、ストライクかボールのどちらか微妙なコースの時、審判は‘無意識に’ホームチームに有利な判定をしてしまう。つまり、「ボール」とコールすることが多くなるため、見逃し三振が減り、フォアボールが増える。
サッカーでも、過去試合データを分析してみたところ、アウェイチームがファウルを取られる数が増えることがわかっています。
とりわけ面白いのが
「追加タイム(ロスタイム)」
の違いです。
追加タイムは、選手交代や選手の負傷などによるゲームの中断時間を主審が裁量し、任意に決定できるゲーム延長時間ですね。
過去の試合データの分析によれば、ホームチームが1点勝っている時の追加タイムは平均で「2分」ちょっと。
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2012.08.16
2012.09.28
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。