2012年1月30日厚生労働省が初めてパワーハラスメントの定義を公表しました。上司から部下へのいじめ・嫌がらせと言われていたパワーハラスメントは、なにもそうれだけでなく部下から上司もあり、同僚から同僚へもあるとのこと。さて、パワハラ防止とは弱者保護のためのものなのでしょうか?
では、上司から部下へのパワハラはいったいどれくらいの割合かというと、厚生労働省の外郭団体の調査によるとパワハラ問題全体の6割程度だそうです。
つまり、残りは部下から上司、同僚から同僚ということです。
さて、パワハラとはどんな状態をイメージするでしょうか。
成績の悪い部下に対して、書類などを投げつけたり、デスクを蹴ったり、、、
もしかすると、徒弟制度の残る料理人の世界などは今でも当たり前かもしれません。
または自分にとって都合の悪い意見をもつ部下を左遷したり、給与を必要以上に下げたりなどが考えられます。
これらは悪意をもったひどい例と言えるでしょう。
一方で悪意はまったくなくても、ミスの多い部下をなんとか育てるために、あるいはなんとか会社にとって利益がでるように部下に注意・叱責を続け、堪忍袋の緒がきれた瞬間に人権侵害言動が爆発してしまった結果ということも事象としては増加してきています。
高度経済成長のころ、あるいはバブルのころ、上司から必要以上の厳しい指導を受けて育った人にとっては、そういった指導は決して悪ではありません。むしろ、古き良き時代の思い出でもあり、それこそが立派な部下を育てる育成方法と思いこんでいる場合が多いのです。
社会全体が右肩上がりに伸びていた時代だからこそ許されていたことが、現在の混沌とした時代においては許されなくなってきています。上司のパワハラ的指導のもとでいくら身を粉にしてがんばっても給料もあがらないのでは前向きにはなれないし、世の中に大きな役割を担っていると思えば耐えられることも、社内で隠蔽している情報が世の中にマイナスであるならば、自分のしている仕事へのやりがいやプライドがなくなってしまい、理不尽と言えるひどい叱咤を決して耐えることなど無理といえます。
しかし、一方でパワハラになることを恐れ、上司が部下に対して必要な叱責・注意をできなくなっていることも現状として存在します。これは組織として大きな問題です。「事柄を叱っても人柄は叱るな」と言われているように、パフォーマンスそのものに対しては厳しい叱責は必要なことです。
ところが、正当な叱責であれ、それによってストレスを感じる部下がメンタル不全に陥ったり、お酒に誘うことさえ誘いにくい状況において、パワハラ防止そのものが弱者保護と取られることもあるようです。
ですが、それを弱者保護と思った時点でパワハラやセクハラ、その他のハラスメントそのものを防止することは不可能なことではないでしょうか。
なぜか。
それは私たち同じ人権をもつ人間同士は弱者・強者で分けることなどできないという視点から、この問題に取り組んでいかなくてはいけないからです。
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2016.10.18
2018.03.16
株式会社パーソナルデザイン 代表取締役
「自分らしさをデザインする。」をコンセプトに、独自のパーソナルアイデンティティ分析を基に業界・業種・役職に合った「自分らしさ」をスタイリスト、ヘアデザイナー、ボイストレーナー、演出家ほか各種スペシャリストとともに演出をサポートしています。ビジネスパーソンのためのパーソナルプロデューサー、が肩書きです。