自己紹介として、ブログや本などで書かれる“マイ・ストーリー”。筆者はマイ・ストーリーで嘘をつくことは望ましくないが、もし自分をよく見せるために書くとすればこうすべきだというアドバイスを送る。 [吉田典史,Business Media 誠]
我欲がこれだけ強いと、いろいろなところで反感を買われるだろう。だが、20代後半までは何の実績もないのだから、押しの一手で進んでいくべきと思う。その時、自分を支えるのが、1のマイ・ストーリーだ。2年の経験しかないのに、「ひと通り学んだ」と言い切っていい。嘘に近いが、それが、許される年齢なのである。
マイ・ストーリーを使い分けてイメージチェンジ
だが、このマイ・ストーリーで30歳まで進むと、壁にぶつかることが多い。上司や先輩、後輩、取引先、顧客とトラブルになる可能性が高い。これは、私の経験論でもある。ここでの判断が、その後の運命を変える。賢い人はイメージチェンジをする。つまり、1と2の折衷路線に切り替える。
前述の例で言えば、こんな具合になる。「1年、警察担当の取材、その前に1年、県政の取材をした。それでも取材の仕事が分からなかった。そこでもっと深めようと、出版社に転職をした」
「ひと通り学んだ」ではなく、「それでも取材の仕事が分からなかった。そこでもっと深めようと、出版社に転職をした」と見つめ直すのである。大前提として、これらが事実であることが大切である。
そして、会社員としての人生が見えてきた30代半ばにさしかかるころに、2の路線に移す。あとは、定年までしがみつくことが現実的だろう。1の路線で30代~40代を進むと、人生設計ができない。設計をすることは妥協の連続であり、力以上の夢や理想をあきらめることが大切だ。
2のストーリーにシフトするならば、「1年、警察担当の取材、その前に1年、県政の取材をした。それでも取材の仕事が分からなかった。そこでもっと深めようと、出版社に転職をした」に、例えば、次のようなことを付け加える。ただし、事実のねつ造は好ましくない。
「その後、いくつかの会社から『うちの会社に転職をしないか』と誘われたが、いずれも断った。俺はこの会社を愛している。お前たちを見捨てることはできない。そんな思いで、会社の経営陣と闘っている。俺はこの会社を変える」
……と言うと、まさに中年会社員の鑑(かがみ)となる。これをFacebookに書いて集客し、ビジネスをしようとすると、詐欺まがいになる。だが、このようなことを社内で語り、自分を奮い立たせるのは許されるのではないか。
どうか、マイ・ストーリーの達人になってほしい。
著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)
1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。
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