あるべき人材像や必須スキルを掲げて、社員にその習得を求めるような人材育成で、いいのだろうか?
もちろん、ここには色々な議論・主張があるわけですが、もしこれからの組織に「多様性」が求められるのだとすれば、人材育成もそのような発想に転換せねばなりません。最大公約数的なスキルを定めて、その習得を必須とするような育成方針、あるべき人材像を掲げて、全員にそのようになることを求めるマネジメントで良いのか。ひょっとすると、人材や能力を画一的・同質的にしてしまっており、社会・顧客の要望との乖離を生むことになっていないかと考えてみるべきだろうと思います。
かと言って、弱み(無理解や未熟さ)に焦点を当てて、底上げ的な育成を行うことの必要性が低下している訳ではありません。ビジネスに必要な心構えやスキル、社会が求めている基本的な振る舞いや姿勢、組織を円滑に運営するための原則の理解や役割行動といったものは、必須のこととして全員に要望すべき内容でしょう。しかし、それで多様化する社会的要請に応じられるか、あるいは競争力の観点から十分なのかどうか。
恐らくは、それぞれの強い部分、良い所を自覚させ、学びや鍛錬の機会を用意し、その自主的で積極的な利用を徹底して支援する、そして各々が独自の強み・得意を持てるようにするといったスタイルにシフトしていかざるを得ないのでしょう。この二つのバランスをどうとるか、強み伸長の仕組みをどのように作るか、これが人材育成における今日的なテーマと言えます。
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NPO法人・老いの工学研究所 理事長
高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。