静岡で起きたパワハラ自殺に先日15日に司法判決初の労災が認められました。「上司の言葉が過重なストレスとなってうつ病となり、自殺した」と判断。ついで、99年に盛岡で自殺した会社員にも労災が認められ、「自殺は業務に起因したとみるのが相当」ということです。
仕事上で部下を叱咤するのは日常当たり前のことと言えます。
私の場合、多くの部下を抱えていた前職では、毎日多くの決済事項をもってスタッフがやってきました。それを決済したり、やり直しを指示したり、あまりのミスの多さに叱り付けたり、しょんぼりしている部下に気がつけば激励したり、ポジションがあがればあがるほどそんな仕事が多くなっていきました。
なんとなく相性がよく酒を傾ける機会の多いスタッフには普段仕事でも叱咤しやすく、そんな場合でも後腐れなく受けとめていてくれたように思います。
価値観が異なり、あまり仕事外で時間を過ごすことのないスタッフには何か注意するときも考えに考えて伝えていた記憶があります。
そのためかこちらのストレスがたまり、もしかすると大きな失敗や意思の疎通のあったときは感情的になったこともあったかもしれません。
新入社員の頃の私は3ヶ月くらいは平気で土日がなく働いていました。体調が悪くても休むなんて考えたことがない私にとってちょっとしたことで休んだり、忙しいのに長期休暇なんて考えられないことで、そんなスタッフを見るとやる気があるのか・・・・・・なんて勝手に決め付けていたこともありました。
もちろん、スタッフには平等でいようと努力していましたから、それで評価を変えたりしていなかったと思いますが、昇進昇格などやプロジェクトなどで抜擢しなくてはいけないときは当然仕事がしやすい相手を選ぶわけです。
まあ、こういったことは人間である以上仕方がないとも言えます。
ただ、今回初めて労災認定されたパワーハラスメント(パワハラ)は叱咤激励のつもりが、相手の将来を握っているかもしれないパワーのある人が相手をなんとかしようとするために行き過ぎた叱責となり、人間性まで否定してしまう行為に走ってしまうことなのです。
「そんなことでは出世できないぞ」
「あいつはちゃんとできているのになぜお前はできないんだ」
「頭おかしいんじゃないの。今のお前なんかではこの仕事は無理だぞ」
普通の社内の上司のセリフだと思うかもしれませんが、出世に触れたり、人と比較したり、精神的に問題があるかのように相手を否定したりすることが、どんどんエスカレートして受け手にダメージを与えていきます。
結果、それを受けた相手の体調が壊れていったり、うつ病になったりといろいろな症状がでてくるというわけです。
パワハラにはステップがあるといいます。第一は通常の上司の叱咤です。そして第二は否定、第三は妨害や強要、第四は攻撃までエスカレートしていくのです。ほとんど、加害者は自分がパワハラをしていると気付かず行っている例の方が多いのです。
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2007.11.09
2009.10.04
株式会社パーソナルデザイン 代表取締役
「自分らしさをデザインする。」をコンセプトに、独自のパーソナルアイデンティティ分析を基に業界・業種・役職に合った「自分らしさ」をスタイリスト、ヘアデザイナー、ボイストレーナー、演出家ほか各種スペシャリストとともに演出をサポートしています。ビジネスパーソンのためのパーソナルプロデューサー、が肩書きです。