昔、「ラブテスター」というおもちゃというか、電子機器があったの知ってますか?
少年マガジンとかの裏表紙の通販ページによく掲載されていました。
この機械、楕円形をした2個の端子を友達の手に握らせて、「ひろしクンは●●子さんが好きだろ?」とか質問して、その答えがホントかウソかを判定するマシーンです。原理は、電圧を調べるテスターみたいなもの。ウソをつくと冷や汗をかきやすくなり、すると、手のひらの電気抵抗も低下して導電率が高くなり、針が大きく振れるためウソだとわかるというもの。
ここだけの話、私、小学校高学年くらいの時、購入した覚えがあるんですよね。
当時、警察の科学捜査について解説した本に凝っていて、指紋の照合や、ウソ発見器の仕組みとかに興味があったのです。(とすると、私がマーケティング・リサーチの仕事をするようになったのは、決して成り行きだけではないのでしょう。)
ラブテスターの仕組みは、警察のウソ発見器と原理はほぼ同じ。それで、ついつい買ってしまったのだと思われます。ただし、警察で採用(研究?)されていたものは、脳波なども同時に調べて、被疑者の自白の真実性を確認するものでした。
さて、時代は巡り、今や、脳波を測定することで人の「好き嫌い」「喜怒哀楽」がかなり正確に、かつリアルタイムで把握できるようになっています。脳波を測定することで、人の心理を読み取ろうとする試みは「ニューロサイエンス(脳神経科学)」の領域ですね。(ちなみに、マーケティングに応用するのが「ニューロマーケティング」)
ニューロサイエンスには様々なアプローチがありますが、名古屋大学教授、中川匡弘氏の研究では、脳波を測定することにより、
・好き・嫌い
・喜び
・怒り
・悲しさ
・楽しさ
といった多様な感情をビジュアルにリアルタイム表示できるのが実に画期的です。
先日のNHK『爆笑問題のニッポンの教養 (2011/1/3)』では、田中裕二さんが被験者となり、いろんな対象物を見せられた時の感情の変化を見ることができました。例えば、彼が嫌いな椎茸を見せられた時は、「嫌い」という感情がやはり明確に現れました。
また、ビキニ姿のロシア人美女が登場した時には、最初は驚いて動揺したものの最後には大喜び。(実に正直な人です)
大好きなネコを渡されたときも、喜びの感情が明確に示されていました。
ただ、タイタンの社長、太田光代さんの写真を見せられた時、「嫌い」の感情が高い水準で現れた時には田中さんも随分困ってました・・・(実に正直な人です)
太田光さんが、中川教授と話しをしている中で、「漫才がなくなるかもしれない」という話題になった時には、「哀しい」という感情が露わに。
この中川教授の研究、すでに製品開発などにも応用されつつあります。いわゆる「感性工学」の分野における取り組み。コマーシャルを見た時の感情の動きなどの測定にも既に応用が始まっているのかもしれません。
fMRIのようなおおげさなマシンを使わないし、すぐに好き嫌い、喜怒哀楽といった基本的な感情要素が読み取れるので、実用性が高そうです。
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2012.07.19
2017.03.30
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。