嬉しい、悲しい、楽しい、むかつく、幸せ、好き・・・ こうした様々な感情は、何かを見たり聴いたり体験した際、自然に湧き出てくるものです。
感情は「自然に湧き出てくる」、言い換えると「無意識」に発生するため、感情の湧出自体を抑えることはできません。
というのも、「楽しいな!」などと、自らの感情を知覚できた時には、当然ながら、すでにその感情は生まれた後だからです。(もちろん、湧いてしまった感情が高まり過ぎないように、操作することは可能ですね。例えば、怒りの感情が湧いた時、深呼吸するなどして、暴言を吐いたりしないように気をつけるとかです。)
すなわち、私たちはあらゆる状況において、なんらかの「感情」が「理性(思考)」に先立って発生しているのです。
消費行動においても同様です。
ある商品・ブランドを見たとき、私たちの心の中には、「かわいい」とか、「きれい」とか、「ダサい」とか、パッと無意識に何らかの感情が生まれています。
そして、ある脳科学の実験によれば、脳の変化を測定し、様々な商品・ブランドを見た際の感情を捉えることで、
「この商品を欲しい」
と実験協力者が意思表明する以前に、その人が購入したいかどうかを予測できることがわかっています。
すなわち、私たちは、無意識の領域で生まれる「感情」に基づいて、商品・ブランドを購入したいかどうかを直感的に決めていると言えるでしょう。
ただし、その後、詳細な仕様や価格、アフターサービスの有無などを比較検討する「理性(思考)」のプロセスが入りますので、必ず購入に至るわけではありません。(ガム、スナック菓子など、単価が安く身近な商品では、思考プロセスが省略され、多くは感情のみで購入されますが)
ですから、感情レベルで「とても欲しい!」と思っている消費者は、「購入すべき理由」を無理やり見つけ出そうとします。(笑)
あるいは、ともかく購入してしまった後で、「後付けの理由」をもっともらしく語ることもあります。
アンケート調査のような、従来の消費者調査の有効性が疑われてきた理由のひとつがここにあります。アンケート調査では、回答者の「言語」によって、購買理由等を聞きますが、言語化された時点で、理性のフィルターを通ってくるため、回答者の本当の感情(=本音)を知ることが難しいからです。
そこで、「直接脳に聴こう」、「感情を測定しよう」とする試みが、脳科学の技術を利用した、近年注目を集めている「ニューロマーケティング」です。ニューロマーケティングについては、今後、様々な切り口でご紹介していきたいと思っています。
今回、記憶にとどめて欲しいのは以下の点です。
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2012.08.31
2015.09.04
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。