これは、昨年(2010年)後半、メルマガ『スーパー広報術』に連載した記事を統合・一部リライトしたものです。なお、原書に基づいて執筆したため、翻訳版とは日本語の表現が若干異なっています。
●最新マーケティングバイブル『Marketing3.0』
『Marketing3.0』は、これからのマーケティングのあるべき方向性を明確に示した良書です。マーケティングの「最新バイブル」とも呼べる内容であり、マーケターの必読書となることは間違いありません。
『Marketing3.0』では、新しいことが説かれているわけではありません。
マー ケティングがこれからどうなっていくかについての「きざし」をうまく整理し、概念化してある点に本書の良さがあります。
実は、『Marketing3.0』の核となるアイディアは、アジアで生まれています。
コトラー氏の共著者は、東南アジアに拠点を持つマーケティング会社の人です。
これからポイントを紹介していく中でなんとなくわかると思いますが、東洋的な思想がマーケティングに取り入れられたのが『Marketing3.0』です。
ですから、日本人の私たちにも結構しっくりくることが書かれています。
●マーケティングの進化
過去数十年間、マーケティングは顧客や市場環境の変化に伴って進化を遂げてきました。最初の「Marketing1.0の時代」は作れば売れる時代のマーケティングでした。
製品を売ることしか頭になかった「製品中心のマーケティング」。
そのうち、市場にモノがあふれ競争が激化し、消費者の嗜好が高度化・複雑化したため、「Marketing2.0の時代」へと進化せざるを得なくなります。
2.0の時代代は、「顧客中心のマーケティング」です。個々の消費者のニーズにきめ細かく対応し、製品を売るのではなく、顧客を創造することがマーケティングの最大目的となりました。
そして今、「Marketing3.0の時代」が到来しつつあります。3.0の時代を迎えた背景には、地球温暖化などの地球環境や生物多様性関する問題や人口爆発や経済成長のひずみが生み出した貧困問題など、社会・地球規模で取り組むべき課題が増えたことがあります。
現代の消費者は、ただ自分の欲求を充たすだけではなく、自分の購入する商品が地球環境などに悪影響を及ぼさないかということを懸念するようになっています。あるいは、身近な日本社会における問題、さらには発展途上国の諸問題について憂慮し、「自分にできることが何かないか」と考えるようになってきました。
つまり、現代の消費者は、個人としてだけでなく日本社会というコミュニティの一員として、さらには、様々な生物と共に大きな一つの生態系を作りあげている地球に住む人類の1人である、という意識で行動するようになっています。
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「Marketing3.0」考
2011.01.08
2011.01.08
2011.01.08
2011.01.08
2011.01.08
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。