リーマンショック時にはとにかく支出を抑え、我慢するというのが大半の企業行動だったように思いますが、今回の二番底でより深刻なのは円高で、より一層開発・生産の海外移転が進んでいる。 そんな中、時代に逆行するような記事を見かけました。
一方で、国内拠点の価格競争力が低いことは言うまでもありません。
方向としては揺れ戻しを続けながらも国内生産はある一定レベルは残る、ということになるでしょう。その時には国内生産品と海外生産品は明確な棲み分けができているのではないでしょうか?
私が今回改めて関心したのは、GEのスピードの早さです。
GEは私も日本国内で働いた経験がありますが、極めて動きが早い企業です。
中国へのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)についても関連会社の当時のGECIS(現在はGENPACT)が10年前に大連にオペレーションセンターを立上げ、いち早く運用業務のアウトソーシング化、海外移転を行いました。
検討~実行まで1年位です。
日本企業であれば、まずはアウトソーシングとは何か?を調べるところから始まり、海外に出すべきか、出さないべきか、も含め、数年かけて検討し、まずが試験的にここからやってみよう、と決まるまでに3年、実行までに4-5年最低でもかかる、というのが通常です。
GEですと、「何故アウトソーシング?それも海外?」なんていう発言自体全く聞かれません。
今回の件からも、何らかの環境変化を捉えてダイナミックに方針を決め、かじ取りを行い、即実行する。このようなマネジメントの能力自体がGEの強みであり、昨今のような環境変化が激しい世の中で最も重要な資質ではないか、と改めて感じました。
これは日米企業のコンサルティング会社の使い方の差にもつながっているかもしれません。
米国企業はコンサルティング会社に方針作成だけでなく、早期実行を支援してもらいます。スピード感やそれを実現するための手法、方法論やリスク回避の手法を持っているからです。
一方で日本企業の場合はどちらかというと方針作成のためだけにコンサルティング会社を使うケースが多いです。
実行は「自分たちでできるから」というのがその理由です。
自分たちでできるものを加速化し、スピードを上げて早期実現する、そのためにコンサルティング会社を活用するというのも、重要な視点ではないでしょうか?
今後日本でも企業の強みとしてマネジメント能力は益々問われていきます。
そうすると正しい意思決定だけではなく、意思決定を実現する能力が一層求められていきます。これは調達分野でも同じであり、施策を実行する点でもコンサルティング会社の力が求められていくと思います。
そういう点から調達・購買業務経験者が多く存在する我々のような企業の存在価値が高まっていくと期待しております。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。