業務改革を推進するリーダー、その傾向と取り組みの事例、実態とは。
先日「日経情報ストラテジー」2009年10月号で興味深い企業事例紹介がありました。
「東レ 取引先巻き込み物流コスト10%削減、値下げ要求せず、仕組みを変える」
『東レは2006年から全社的な物流改革に取り組み、燃料高などの逆境の中でもこの2年間で物流コストを10%削減した。営業部門や顧客企業を巻き込んで、帰りのトラックにも荷物を積む「往復物流」を促進。外注先の物流会社には「値下げ要求はしない」と宣言して協力体制を深めた。』
調達・購買部門ではなく物流部門の話ですが、正に物流会社を巻き込む活動を行い、コスト削減を実現しているようです。
具体的には2006年4月から物流の仕組みを変えるという方針を掲げ、社内や顧客、物流業者を巻き込みながら、値下げを求めるのではなく、「コスト」「環境」「品質」の3つの観点から物流改革に取り組んでいるとのことです。
興味深いのは改革を推進する部長の話です。
「長年営業をやっていて、顧客企業から値切られることが多かったが、いい思いはしない。値下げ要求では大幅なコスト削減はできない。無理のある改善は継続しない」
このような考え方からタイトルにある「値下げ要求せず、仕組みを変える」成功事例として取り上げられているのです。
最近の調達・購買の世界でも一部の原材料、部品で入手困難が続いており、「如何に優秀なサプライヤを囲いこめるか?」という視点が重要であると繰り返しこのメルマガでも取り上げてきていますが、正にそれを具現化しています。
但し私がこの記事に興味を持ったのは、もう一つの違った視点からです。
この物流改革を推進する旗振り役の部長は物流部長になる以前は、ほぼ一貫して営業畑を歩んできている方だそうです。
営業経験を持つ方が営業の立場から第三者的に物流を捉え、従来とは異なったやり方で改革を進めているのです。
これは調達・購買部門でも同様な傾向があります。
日本能率協会と実施した2008年度の調達・購買部門アンケート調査では調達・購買担当責任者の75%が他部署もしくは他社からの異動、転職者であるという結果が出ています。
また日頃お会いさせていただく調達・購買部門の方や研修に来られている方も営業や開発などの各部門から最近異動してきた方が多数いらっしゃいます。
このようにプロフェッショナル職種である調達・購買部門と思われがちですが、実はその改革推進者や改革推進者をサポートする立場の方は他部門出身者であることが多いのが実態です。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。