「3年で3割が辞める」の何が問題か? <2>

2007.04.10

組織・人材

「3年で3割が辞める」の何が問題か? <2>

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

「年収20%アップの転職!」といった魅惑的な広告コピーで若手社員の浮気性はますます膨れあがる。何が根本の議論になるべきか?

自律的になることがしんどそうで逃げる人は、
違和感、不満、不足、不遇を嫌って、すぐに居場所を変える。
(そして漂流回路に陥るリスクを自ら大きくする)

************

人の「変わる/変わらない」を簡単な図にしてみました。

人生において、
時に自分が「変わる」ことも大事ですし、
「変わらない」ことも大事です。

ですが、その行動が、
強い意志(自律)に根ざしているのか、
弱い意志(他律)で何となくなのか、
これは重大問題です。

新卒入社者の3年で3割が辞めることの問題で危惧することは、
右下象限<意志弱い×変わる>の
「流転・付和雷同」組が膨らんでいることです。

変わる、という行為自体は、善でも悪でもない。
ただ、それが、他律的であることと掛け合わさると一気に危うくなる。

ましてや近年、さらにその危うさを増す要因として、
・功利主義(転職情報の氾濫でお手軽に年収を上げられるとの思い込み)
・人手不足状況(実際、企業も高めの年収額を振りかざしてヒトを採る現状)
・ゲームリセット感覚
・責任転嫁意識(すべてはこの会社の成果主義が悪いのだといったようなマスコミの論調にのったような理由付け)

これらは、私がキャリア研修事業で、
20代から30代前半の働き手たちと接する中で感じ取っているものです。

よく企業の人事担当者の方々は誤解をされます。
「へんに寝た子を起こしてしまったら大変だ。
社員がキャリアの自律意識に目覚めてしまったら、
ますます転職で出て行ってしまうではないか」と。

これは全く逆です。
働き手の自律マインドを醸成することは、
安易な転職を減らすということにつながります。

そして、何よりも、働き手本人が、自律的になることで、
不要なリスクを減らし、
満足のキャリア環境へ一歩近づくことになります。
(近づくというより、みずからつくっていく、馴染ませていく)

「3年・3割退職」問題を考えるにあたって、
働き手側の問題で最も大きなものは、

今いるその職場で「自律的になる」ことをせずにいる人が多い
ということではないでしょうか。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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