企業向けソフトウェアの販売サポートを提供する株式会社アシストには「ソリューション研究会」と呼ばれるユーザ会がある。アシストのユーザ企業なら誰でも無料で参加可能な研究会だ。その中心的な活動の「分科会」で、年に一度優れた研究に賞が授与される。4年連続「全国最優秀賞」を受賞したスゴイ人がいる。関西電力株式会社の上田晃穂氏だ。上田氏にユーザ会のような、社外の異業種交流でいかに自己研鑽を行っているかを聞いた
「そもそも、この世にうまくいく方法というのは、1つだけじゃなくて、いろんな方法があるはず。それを他社の成功事例や、やり方から謙虚に学びたいと思っている」
また、それまでに無意識にやってきた「ファシリテーション」を、この分科会で強く意識するようになったと上田氏は言う。
会議の運営方法や意見の纏め方という技術は、世間にノウハウ本が出てはいるが、なかなか実践しようとしても難しいのが現実。自身も、まだ感覚的に頭の中にしか、そのノウハウはないという。
この分科会では、メンバーの意見の発散と収束の流れをコントロールして、1つのストーリーにまとめる技術が必要なので、その点を意識して参加していれば、おのずとその技術が身に付く。
ファシリテーション役が、メンバーの意見を引き出し、発散した意見を結びつけて膨らませ、グループ化したり、体系的にまとめたりする技術は、仕事をやっていく上でもとても重要だが、なかなか学ぶ機会がない。そういう貴重な体験を、利害関係なく一年間かけて体験できるのがこのソリューション研究会だ、と言う。
■「分科会メンバー」から、「西日本幹事」へ。
そして、短期分科会の「講師役」も引き受けて
上田氏は、2008年からユーザの代表として、ソリューション研究会の会全体の企画、運営を担当する「幹事役」にも就任した。また、西日本の独自の取り組みとして、毎年夏、短期間開催の「新入社員向けの短期分科会」があるが、上田氏は、この短期分科会の講師役も2008年から担当している。短期分科会の講義内容は、新入社員がすぐに役立つ内容にしてあげたいということで、「仕事に役立つ、問題解決力」や「情報セキュリティ・内部統制ってやらないといけないんですか?」を、他社ながら次世代を担う後輩たちに説いている。
一方的に聞いているだけの講義を半日間やっても身につきにくいものだが、この短期分科会では2人がペアになって意見交換し内容をまとめ、その場で課題テーマに沿ったプレゼンテーションを実施する時間を必ず取っている。プレゼンテーションは場数が重要。社内でプレゼンをやらせてもらう機会がなければ、この短期分科会は新人にとって良い経験の場になっているはずだ。
短期分科会の生徒だったメンバーが、翌年、上田氏のところへ一人の営業として訪問してくることもあり、いずれも、いろんな人の輪が広がってゆきつつあるという。
■「最優秀賞」受賞の勝因は何だったのか
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