自律的働き方は善で、他律的は悪なのでしょうか?また、働き方を考える上で「合律的」という新概念を意識づけする必要もあるように思います
つまり、ある仕事をやろうとするとき、
組織や上司はこう考え、こう行なうようにと命令してくる(=他律的な)流れと、
それに対し、「いや、自分はこう思うので、こうしたい」とする(=自律的な)流れが生じます。
そして、結果的には、自分と上司なり、組織なりが討議をして、
双方が納得する流れをつくりだして、対処する場合です。
この自分と他者の間に生み出された新たな第三の流れは、
自律的でもあり、同時に他律的でもあります。
その第三の流れは、双方の律を“合した”という意味で、「合律的」と呼んでいいかもしれません。
また、自律的な“正”の考えに対し、他律的な“反”の考えがあって、
その2つを高い次元で止揚する“合”と考えてもいいでしょう。
合律的という止揚の形態は、とても大事な律の持ち方です。
事業組織は、常に環境の変化にさらされていて、
その環境適応・環境創造のために、新しいやり方を生み出していかねばなりません。
その際、誰がそれらを生み出していくのか。
もちろん、それは経営者および個々の働き手にほかなりません。
しかし、彼らが過剰に自律的(時に我律的)に考え出し、行動する選択肢は
往々にしてハイリスクであるし、全体がまとまるにもエネルギーが要る。
(存亡の危機にある組織が、起死回生の一発を狙って行なう経営者の超我律的選択肢は例外的なものと考えるべき)
そんなとき、自律と他律の間で、止揚的に(決して「中庸的に」ではない!)第三の選択肢を創造していくことは、
最も現実的で、かつ成功確率の高い変化対応策を生み出すことにつながっていきます。
強い会社・変化対応に優れた組織というのは、
経営者が合律的なマネジメントを実行するということは当然ですが、
やはり、現場の個々の働き手が、合律的な考えをし、合律的に振舞うということが決定的に重要だと思います。
冒頭、入社3年目くらいまでの若年層社員には、
“自立する働き方”から“自律する働き方”にシフトアップさせることが大事だといいましたが、
この自律、他律を超えて、“合律的”に働くという意識と行動が大事になってくるのは、
入社5年目くらいからだと思います。
(もちろん、一部分、早熟な人財もいるでしょうが)
組織の中堅クラスが、合律的な働き方をして、
その組織の骨格となる文化とダイナミズムを創出する―――――
私はいくつもの強い事業組織をみてそう思います。
他方、自律的なヒトはどんどん他社に流出し、
他律的なヒトが組織に居残る―――――
これが停滞する組織の姿のように思います。
次回は、この合律的働き方を発展させて、
組織文化と組織風土の違いについて書こうと思います。
*なお、自律と他律、合律の詳しい論議は、
拙著『“働く”をじっくりみつめなおすための18講義』をご参照いただければ幸いです。
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【4景】合律的働き方と組織文化
2007.10.17
2007.10.10
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。