環境ビジネスは今後の日本の成長の柱とよく言われるが、本当にそうだろうか。 マクロの視点での安易な議論に煽られて、多くの屍が残される。 そんな予兆になりそうな日本政策投資銀行の調査結果を今回は紹介する。
大抵の企業が新規事業の参入の基準として掲げるのが、ある程度の市場規模がある、行政やマスコミなどの権威や他社が有望市場として睨んでいる、早期に黒字化できるといったものである。これでは、有望市場は誰もが思いつく限られたものになってしまう。
それなのに、事業計画策定時は大抵が現在のプレーヤーだけを見て、参入余地があると判断してしまう。人間は、物事を自分の都合よく、或いは、自分が他者より優れており、敵やライバルが劣っていると考える傾向がある。例えば、米国のものではあるが、ある調査では1万人の高校生の内、76%が自身のリーダーシップは平均以上、反対に平均以下と答えたのは2%に過ぎなかった。60%の人間が自身が仲間内で10%のランクに位置している、25%がトップの1%に占めると考えていた。(出所:"Discover YourInner Economist" Tyler Cowen著")新規事業の見通しを当事者が甘く見てしまうのは、こうしたバイアスが同様に働いていることが考えられる。
新規事業を考える際には、自分だけがその市場に着目していると考えるのではなく、今の市場プレーヤーだけでなく、日本企業、いや世界の企業の1/3がその市場への参入を考えていると想定し、その中で、自社がそのビジネスを手がける必然性はあるのか、一強百弱の一強になれるストーリーが描けるか、そのストーリーで置かれた前提は正しいのかということを考えなければならない。そのチェックに耐えたものでも、千三つの確率でしか成功しない。それがベンチャーというものだ。
環境経営、敬資源、敬エネルギーは確かにこれからの経営では不可欠な概念だ。ただ、それは有望市場だからということではなく、もっと企業としてのインフラ、考え方として当たり前に持つべきものであって、環境ビジネスを成長の柱とするには、新しい需要を創出するもう一つ別の価値提案、イノベーションが必要だ。
中ノ森 清訓/株式会社 戦略調達 代表取締役社長
調達・購買業務に関わる代行・アウトソーシング、システム導入、コンサルティングを通じて、お客様の「最善の調達・購買」を実現することにより、調達・購買コスト、物流費用、経費削減を支援する傍ら、調達・購買活動から環境経営に貢献する方法は数多くあると、環境負荷を低減する商品・サービスの開発やそれを支える優良なサプライヤの紹介など環境調達に関する情報発信活動を行っている。
コーポレートサイト: http://www.samuraisourcing.com/
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます