「情熱の系譜」iPadアプリの仕掛け人、協和発酵キリン広報担当マネジャーの長谷川一英さんにインタビューした筆者。インタビュー後、iPadに保存されたスイス旅行の画像を肴にした語り合いをして、iPadの本質に気がついた。 [郷好文,Business Media 誠]
話をして面白い相手なら、それはインタビューではなく人間同士の対話になる。記事のためのチェックリストを質問していくだけでなく、面白いことを真ん中にした語り合いになる。そして、そこにテーマの本質が隠れていることもしばしばあるものだ。
今回のインタビューがそれだった。「さて、おいとましなきゃ」と立ち上がりかけてから始まった「スイス旅行 on iPad」。iPadに保存された、300枚にもおよぶスイス旅行の画像を肴にした語り合いが印象的だった。
スイス旅行 on iPad
「バーゼルは美しい街でしたね。歴史と芸術が溶け込んでいました」「何日間いらしたんですか?」「7日間です」。iPadに保存した画像を、協和発酵キリン広報担当マネジャーの長谷川一英さんは次々にスライドさせる。1枚1枚が美しい。
美術館めぐりでは、モネの蓮を再現した池があるバイエラー財団美術館、いすのコレクションで著名なヴィトラデザインミュージアムでは座れる美術品もある。「バーゼルと言えばアートですね」と一同うなずく。
ケーブルカーから登山鉄道への道程もビューティフル。凍える標高3500メートルの山岳地帯、だんだんと晴れて広がる青空の連写が鮮やかだった。
「マルシェ(市場)で、チラリと写っているのは嫁です。普通はひと山いくらですが、あれとこれと一緒にしてこの値段で、と交渉してましてね」「スイス語ですか?」「いえ、マルシェだと英語で大丈夫です」。聞けば、夫人はスイスに研修滞在をしていたことがあるという。「嫁はもう少しで後でちゃんと出てきます」と解説する長谷川さんに苦笑する一同。ハイ、夫人はチャーミングな方でした。
iPadを囲んでの余談が、インタビューよりも盛り上がった。私のヘボ質問のせいだが、「うまそうなピッツァですね」「街中どこでもありますよ」「味はどうですか?」「クリスピーでね」なんて会話の連鎖はPCや携帯だと生まれにくいだろう。
iPadはコミュニケーションを生み出す。それがこのデバイスの本質だ。インタビューのテーマ「情熱の系譜 for iPad」の人気の秘密もそこにある。
コンテンツの良さ
長谷川さんは、製薬会社のテレビ番組連動のiPadアプリ仕掛け人として一躍有名になった。個人所有のiPadは、仕事はもちろん、自身の生活の一部としても使用している。
「情熱の系譜」(テレビ東京)は、現代の偉人が自分の情熱の系譜にある先人の偉業をたどる番組。8月2日の放送では、日本の文化・感性をスイーツに吹き込むパティシエ辻口博啓さんが、画壇に新風を巻き込んだ長谷川等伯氏を語った。7月より配信しているiPad限定動画では、アルピニスト野口健さんが伝説の冒険家植村直己氏を熱く語っている。さて、iPad限定の動画配信までやるのはなぜですか?
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