本日、9月7日10時より全国発売が開始された、吉野家「牛鍋丼」。自社顧客の競合流出防止と、競合顧客吸引という、まさに社運をかけた新メニュー。人気の牛豚丼、豚生姜焼き定食などの豚メニューも販売を停止して「牛」にかける意気込みを見せている。果たしてその実力はいかほどか?
※発売前執筆の関連記事
「吉野家「牛鍋丼」のチャレンジと課題を考察する」
→http://www.insightnow.jp/article/5781
発売開始後1時間半、11時30分の新橋店。吉野家の店内は普段より来店客が多いが、1階・2階ともまだ多少の空席がある状況。しかし、厨房には普段を上回るスタッフが投入されていると見え、12時過ぎに戦場と化すことを予感させる空気が漂っていた。指揮官たる店長は最前線に立ち、顧客の注文を聞き、厨房に指示を飛ばす。「牛鍋丼」の存在を意識せず、いつも通り「牛丼並」をオーダーし、心変わりして注文を変える客も多い。その指示を確実に伝達することか欠かせないようだ。食券方式ではない吉野家の弱点を店長がカバーする。多忙そうな様子ながら、来店客にはいつもの中国系スタッフが前面に出ている時より、格段にホスピタリティーが伝わっているように思われる。筆者は持ち帰りカウンターで「牛鍋丼・並」「牛丼・並」を注文した。来店客の牛鍋丼と牛丼注文比率は半々といったところだろうか。
比較対象とするため、少し先の松屋に「牛めし・並」を購入するため訪れた。9月6日からスタートしている値引き・250円キャンペーンのためか、11時40分の時点で店舗には空席待ちで店内に列ができていた。持ち帰りカウンターに放り投げるように外国人スタッフが弁当を置き、厨房に戻っていく。来店客をさばくのに精一杯で、礼や接客的な配慮をする余裕が全くない様子が見て取れる。
事務所にて持ち帰り弁当を広げる。写真左から、松屋「牛めし・並」、吉野家「牛丼・並」「牛鍋丼・並」。今回は肉の量などを計量することはせずに、できるだけできたてを素直に食べて、その印象から考察しようと考えた。
■見た目の印象
見た目では容器の形状の差からか、松屋のものが最も肉量が多く見えた。当然、肉のみに注目すれば、牛鍋丼が最も少ない。しかし、予想したほどしらたきがその存在を主張していない。
■肉
早速、試食に取りかかる。やはり気になる肉を味わってみる。吉野家の牛丼は、同社こだわりの米国産、そして牛丼に最も合うショートプレートという部位だけを用いている。さすがに脂肪分の入り方も適度で柔らかく美味しい。比較すると、松屋の肉はパサつき感があり、筋も感じる。主に豪州及びニュージーランド産だというが、肉質の違いは明らかだ。最後に吉野家の牛鍋丼の肉。米国産9割、豪州産1割を使用し、米国産もショートプレート以外の部位を用いているという。食感は松屋の肉質に近く、牛丼の肉の柔らかさはない。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。