「青汁」を販売する健康食品のキューサイを、コカ・コーラウエストが360億円を投じて完全子会社化するとの報道が8月31日に流れた。「コーラの自販機に青汁が並ぶのか?」という反応がネット上で散見されたが、その狙いはどこにあるのか?
「健康飲料」が開発できた暁には、自販機だけでなく、コンビニなどコカ・コーラウエストの流通チャネルと物流網が活かせる。つまり「販売シナジー」だ。
今まで両者が投資してきた資産も活きてくる。「投資シナジー」だ。「健康」とは若干距離のあったコカ・コーラブランド。街ナカの自販機利用者は9割が男性であると言われているが、その中で健康が気になるが、今までキューサイブランドと距離感のあった顧客層に製品を届けることができるようになる。両者の「ブランド資産」と「顧客資産」のシナジーである。
キューサイ買収の報に、一部では「キューサイが救済された」などというダジャレ的反応も見受けられたが、キューサイの2009年の連結決算は287億円の売上高、営業利益24億円の堂々たるものであった。買収はコカ・コーラウエストからの熱いラブコールであったことが明らかだ。むしろ、同社の未来を救済したのはキューサイであるといえよう。
こうして考えると、今すぐではないかもしれないが、コカ・コーラの自販機に「青汁」が並ぶのも、あり得る話だ。しかし、大丈夫。キューサイの青汁は昨今、「あのまずいキューサイの青汁が、粉末になって飲みやすくなりました」いくぶん穏やかな顔で八名信夫がCMしている。その日がいつになるのか、少し楽しみな気もしてきた。
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2009.02.10
2015.01.26
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。