生き残りをかけて激化する大学の学生獲得合戦。特に地方大学が苦戦を強いられている境下で、広島工大が実にステキなCMを展開している。
ブランド論の大家、デビッド・A・アーカーが著した「ブランド・エクイティ戦略」(ダイヤモンド社)に、「コモディティー化」と「スペック訴求合戦」を脱するキーワードがある。「知覚品質」という考え方である。
「知覚品質」とは「顧客が認めている、“その製品ならでは”の価値」である。スペックを重視する「工業的な品質」は当然、「客観的に測定可能な品質」であるが、それに対してアーカーの提唱する「知覚品質」は、目に見えない「顧客の頭の中の主観的な評価」である。言い換えれば、その顧客なりの“対価を支払う理由”である。
広工大のCMは、「知的欲求を充足させられること」を情緒的価値として、真っ直ぐに訴えているところがすばらしい。
学校で教育されたカリキュラムのおかげで「ゆとり」だのと言われ、大学を出ても「指示待ち」だの「安定志向」だのと言われがちなイマドキの学生。しかし、熱いハートを持って、学びの欲求を充足させたい志願者も必ずいるのだ。そんな若者が迷わず選択できるメッセージを、もっと多くの大学が送ってもいいと思った。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。