企業の資金調達や企業審査に関わってきた経験を基に「売れない会社」とはどんな会社か?また、どうしたら企業価値が高まるのかをご紹介します。
ベンチャーの資金調達や資金調達のための審査などを手がけ、現在、資金調達やそのための事業計画や資本政策について池袋ビジネススクールで教えています。専門は経営戦略、マーケティング、そして資金調達のための会計やファイナンスです。「何でもできるというのは、何にもできないことと一緒」などとご批判を受けることがありますので、補足しておきたいと思います。私の専門を一般に知られている科目で説明すると上記のように複数の科目によって説明しないとなりませんが、もっと端的に表現すると「ベンチャーマネジメント」が専門ということになります。これは、戦略、組織、マーケティング、オペレーション、会計、ファイナンスなどを網羅した科目です。CFOやCEOとして欠かせない分野ということになります。投資銀行家、ベンチャーキャピタリスト、あるいは、投資ファンドの運用者としては必須の知識や能力だと思います。もっとも、この科目を作ったのは私です。この科目を習得して実務に活かしている方はいらっしゃいますが、解説できる方はそれほど多くないと思います。詳しくは、ベンチャーマネジメント」猪熊篤史【著】(日本評論社)【詳細】をご参照下さい。
前置きが長くなってしまいましたが、ベンチャーマネジメントにおいて企業価値がどれほどかということは重要な問題です。株式を公開している企業は毎日、しかも、刻々と株価が変わるわけですから経営者の気は休まりません。経営者は絶えず売上、利益、そして株価を上げるようにプレッシャーを受けます。「うちの会社は株式公開などしない」、「株式公開すると自由な経営ができない」などと言う方がいらっしゃいますが、それは言い訳に過ぎないようです。本来、経営は株式公開していても、していなくても、同じような圧力を受けます。株式公開していないからといって気楽に構えていては、企業の存続が危うくなります。
地方に強固な事業基盤を持つ同族企業などは比較的業績が安定していて、2代くらいは上手く経営できることがあるようです。しかし、それ以上会社を続けることは困難になることが多いようです。生きるか、死ぬか(倒産、廃業)、あるいは、どこかの企業に買収されるかということになります。生き延びて、他社を買収していくくらであれば良いのですが、多くの企業は廃業、あるいは、買収されていくことになります。売れない会社、つまり、価値の認められない会社は廃業するしかありません。また、実際の価値よりも価格が高い企業も売れないことになります。魅力のある企業であれば1割、2割、あるいはそれ以上のプレミアム価格で売ることができますが、魅力のない企業であれば買いたたかれることになります。
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