チキン戦争勃発!勝つのはマックかケンタか?

2010.07.16

営業・マーケティング

チキン戦争勃発!勝つのはマックかケンタか?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 ファストフード業界でチキンメニューをめぐるホットな戦いが始まった。マクドナルドが攻める。ケンタッキーフライドチキンが受けて立つ。その両者の意図は何だろうか。

 記者会見では原田社長が<「チキン市場3950億円のうち、マクドナルドは640億円」>と言っている。そこから10%押し上げるとすれば、メニュー平均単価300円とすれば、チキンメニュー約1億3000万食を販売することになる。そのシナリオの切り札が、「試食キャンペーン」だ。
 同社は発売1ヶ月前の6月4日から、「チキン宣言!おいしさ実感1000万人のお試しキャンペーン」を展開している。各種の新メニューを一口サイズのお試しで提供。7月には実施店舗限定ながら商品を丸々配布するTwitterとUSTREAM連動イベントを展開する。大人気になった限定メニュー・ビッグアメリカもTwitterで大きな盛り上がりを見せたが、さらにそれを上回る話題作りを狙っていることがわかる。

 マクドナルドの本気さがよくわかる展開ではあるが、迎え撃つケンタッキーは大丈夫なのだろうか。「ケンタ逃げてー」という感じだが、逃げ切るにはまず、ターゲットの棲み分けが重要だ。
 「オーブンローストチキン」を扱うケンタッキーの次世代店は「主として若い女性をターゲットとしている」と同社はニュースリリースで述べている。では、マクドナルドは誰をターゲットとしているのだろうか。そのヒントはCMにある。
 キャラクターには笑福亭鶴瓶を起用した。CMは3種あるが特に「初恋編」に注目だ。鶴瓶が制服姿の女子高生グループとともに足湯に浸かりながら恋の話をしている。鶴瓶は1951年の59歳。還暦一歩手前だ。その世代から10代までという幅広いターゲット設定をしていると考えられる。

 ケンタッキーは若い女性にターゲットを絞ることによって、全面対決を避けることはできそうだ。そもそも、圧倒的な力を持つリーダー企業に対して同じ土俵で戦うことは絶対に避けるべきなのだ。マクドナルドは昨今合理化のために400店規模の店舗整理を実施しているが、それでも3000店の規模を誇る。対するケンタッキーは1200店に満たない規模だ。
 この戦いは、コスト・リーダーシップ戦略対、差別化戦略が基本となるはずだ。ケンタッキーはメインターゲットである女性層をがっちりつかんで、従来と異なる「揚げない」ヘルシーなチキンメニューでマクドナルドとの差別化を図って、そのポジションを確たるものにすることが重要だ。

 この「チキン戦争」に勝利するためには、攻める側も守る側もチキン(臆病)にならずに、大胆な戦略を展開することが求められるのは間違いない。消費者としては次々と繰り出される打ち手を楽しんで市場の活性化に貢献すればいいと思う。チキンをかじりながら。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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