景気低迷によって伸び悩む飲料業界唯一の光明、炭酸飲料カテゴリー。さらなる市場活性化のためにアサヒ飲料は「オトナ」を狙って、アサヒ飲料が仕掛けた「大人炭酸シリーズ」。まさかの氷室京介TV-CM出演、まさかのコーラカテゴリー参入という驚異の2段重ねで世間をあっと言わせた「グリーンコーラ」。それに続く第2弾が投入される。迎え撃つのは・・・
つまり、アサヒよりキリンの方がターゲット年齢が10歳ほど上。30~40代といえば「中年」と言われるのに抵抗を覚え始めることから、言われても抵抗がなくなる頃までのお年頃。少々疲れも隠せなくなる年代だ。そこで、単なるゼロカロリーではなく、アミノ酸配合なのだろう。
また、ブランドの使い方も定番ブランドで安心感、新ブランドで新規性というアプローチは他の市場でも事例がある。ガム市場におけるロッテとキャドバリーの戦い方だ。「柔らかな噛み心地」で若年層に圧倒的な支持を得ることに成功したロッテがフィッツで、「ミントの味が長持ちする」というガムらしい価値観を、従来の顧客層の上の年代である30代男性に向けて投入したのが「Fit’s LINK(フィッツリンク)」だ。全く同様のコンセプトの製品をキャドバリー・ジャパンは新ブランド「ストライド」で18~34歳の男女と若年層を含むロッテより若いターゲットに投入した。どうしても年代が上がるとブランド的な冒険はしなくなる。また、若年層の流行の後追いになる。そんな消費者の特性を考慮した戦略意図がガム市場、飲料市場で取られているのだと考えられる。
ただ、一つだけ「ねじれ現象」的に見えるのが、CMのキャラクターだ。20~30代狙いのアサヒ飲料の氷室京介に対して、30~40代狙いのキリンビバレッジはEXILEだ。
1981年、布袋寅泰等とBOØWYを結成、1988年からソロ活動以来、日本ロック界の帝王として君臨し続ける氷室京介。そのファン層は広く20代もカバーするが圧倒的に30~40代の支持が高い。(※2)これは20~30代をメインターゲットとしつつ、御年50歳になる帝王・氷室の年齢を感じさせないカッコよさで、その上の40歳代までを取り込もうという意図を感じさせる。
一方のEXILEは、筆者を含むターゲット層である40代の認識ではリーダーのHIROは「ZOOの人」であり、CM・「JR東日本 SKI SKI(1991年)の人」ではないだろうか。(←古いか?)。キリンレモンのMAKIDAI、TAKAHIROは、残念ながら、ちょっと馴染みが薄くなるのが否めない。とはいえ、疲労回復アミノ酸配合飲料を本当に中年が飲んでいたら様にならない。EXILEに引っ張られて若年層も飲用することから(事実、筆者が教鞭を執る青学では学生の飲用率が高い!)、それにつられるメインターゲット層も抵抗なく手を伸ばすことを期待してのことだろうか。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。