相変わらずの品薄で全く手に入らない「食べるラー油」。空前のブームの果てに、最後に笑うものは誰なのか?
■ブームの果てにあるもの
日本の食品市場においてはこのようなブームが繰り返し勃発している。スイーツのティラミス、パンナ・コッタ、ナタデココなどのブームを覚えているだろうか。特に93年のナタデココブームはひどかった。フィリピン原産のココナツ果汁を発酵させたこのスイーツ。日本での大ブームに特需がわき起こり、フィリピンのココナツ生産者は設備投資・増産を行った。しかし、ブームはあっさり終息。日本での生産技術も確立し、現地では負債だけが残されるという事態に陥る業者が続出した。
■結局、最後に笑うのは誰なのか?
外食・中食で各企業がメニュー開発をしてくれることは、品薄の商品を探し求めて様々なメニューで体験する戦端的なユーザー層以外にも幅広く裾野を広げてくれる効果が期待できる。そうなれば、ブームが終息しても「食べるラー油」と用いる、またはそれを使ったメニューを作るという食文化が根付くことになる。
桃屋、ヱスビーはそもそも調味料を中心とした品揃えを持つメーカーだ。大ヒットを狙って矢継ぎ早に新商品を上市し、それを売り抜くバリューチェーンを社内に持っているわけではない。息の長い商品を開発・製造・販売することを得意としているはずだ。たまたまといっては語弊があるが、食べるラー油が大ヒットとなった。市場の需要に応えようと必死の増産をしているが、ブームを追いかけて大増産を組む体制を作るつもりはないだろう。
もし、ブームが終息すれば、ドン・キホーテは高価格帯PBラー油をいつまで販売し続けるのかわからない。しかし、桃屋とヱスビーの2社ぐらいであれば、ブーム後の安定的シェアを分け合うことができるはずだ。「ラー油ブーム」で最後に笑うのは誰か?結局は桃屋、そしてヱスビーの2社ということになるのだろう。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。