47都道府県の中で、一番「他殺率」が高いのは、どの地域なのだろうか? GNH=国民総幸福量をこれからの国づくりの指標にしたいとう政治家の皆様には見逃せないデータである。
一方で、一番信仰が薄い都道府県は、沖縄県の7.8%。信仰と他殺率を直接的に結びつける論拠を持ち合わせてはいないが、このデータを比較する限り・・・突出して信仰の厚い地域では、殺人事件が起こる率が低い。
民主党政権下で、GDP(国内総生産)より、GNH(Gross National Happiness)=国民総幸福量を指標に、国づくりをしようという動きが浮き彫りになってきている。人口も減少する。消費が伸びる予測は難しいから成長戦略は描けない。だから、経済的な指標よりも、国づくりを「幸せ」という指標に置き換えて、成長しなくても豊かな社会だと感じる「幸せの知恵」を身につけた国民になろうということである。
このGNH(Gross National Happiness)=国民総幸福量を測る上で参考になる国が「世界でいちばん急がない国=ブータン」と言われている。中国とインドに挟まれた大ヒマラヤ山脈の南麓にある王国である。その第4代国王がGNHを発案し国家理念に活かしていることが、いま世界中から注目されているのだ。
2008年度のGDPランキングが世界で158位であるブータンは、農業以外に産業らしいものはない。資本主義に背を向けてきた国である。GDPで見ればブータンは世界最貧国だが、GNHで見ると9割以上の国民が「幸福」だという。
しかし、その意識を支えているブータンの風土の根底にあるのは、チベット仏教への「信仰」である。その国を参考に、日本は、ポスト資本主義の社会を生きようというのである。
元ソニー上席常務の天外伺朗氏の著作「GNHへ」の中には、「宗教色を一切排除した中で、国民の大多数が深い精神性に目覚めていくことが起きない限り、なかなかGNHが向上するものではない。これは、いまの日本に課せられた、とてつもない難問だ」と指摘されている。
宗教の機能は大きく2つあると言われる。「受容と安定機能」と「自立と創造機能」である。いまを受け入れてこころ穏やかに、自分を見つめて明日を力強く歩む。目に見えない「幸せ感」を国家の指標にしたいというなら、「信仰」や「宗教」に頼らない、「受容と安定機能」と「自立と創造機能」をもたらす教育の道を示すべきだと思う。「政教分離」という原則を守りながらもポスト資本主義を歩む覚悟があると言うなら、もっと豊かな国会運営があるのではないだろうか。いまの日本のままで、GNHを国づくりの指標にするなんて議論は、ちゃんちゃら可笑しい。
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。