「非合理的な存在や力を信じる若者」が増えているらしい。その数字は、オウム真理教事件以前よりも、高い数値を示している。ここ15年・・・何が進んだのか?いや、何が後退したのか?考えてみる。
オウム真理教の活動が社会のニュースになり始めたのは1980年代後半のバブル絶頂期。そして、バブル崩壊後の1995年3月20日地下鉄サリン事件を起こし摘発された。その影響で、「非合理的な存在や力を信じる若者」率は、いったん下がったらしいのだが・・・。この混沌とした2010年。「非合理的な存在や力を信じる若者」は、オウム真理教が盛んに活動していた時代よりも増えているという結果が出ている。
このデータの元は、NHKの放送文化研究所が1973年から継続して5年おきに行っている、全国の16歳以上の国民5,400人に対する「日本人の意識」調査。(個人面接法。2008年の有効回答数は3,103人である)。
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/2927.html
その興味深い数字を拾ってみると・・・
「あの世を信じるか」という問いに対して、
16~29才の若年層は、22%の人が信じると答えている。
これは、地下鉄サリン事件直前の1993年の結果と同数。
その伸びる勢いは、近年の方が著しい。
30~59才の中年層においては、
1993年よりも9ポイントもアップしている。
「奇跡を信じるか」という問いに対しては、
16~29才の若年層は、38%の人が信じると答えている。
これは、地下鉄サリン事件直前の1993年よりも10ポイント以上高い。
30~59才の中年層においても、10ポイントのアップである。
1995年のオウム摘発後に、いったん落ちた「非合理的な存在や力を信じる若者」率は、回復どころか、さらに、増え続けている。事件当時16~29才の若年層であった人達も、そのままスライドして「非合理的な存在や力を信じる中年層」になっていることがわかる。
この調査データが興味深いのは、この点だけではない。
一番重要な視点は、逆に、60歳以上の高年層で、こうした非合理的なものを信じる者の割合が、年々減っている点にあると考える。
「奇跡を信じるか」の問いに対して、若年層と高年層の間には、実に、32ポイントの差がある。
この意識の隔たりは、大きい。「奇跡を信じるか」という問いに、バカ正直に100%信じると答えている若年層は少ないと思う。「奇跡を信じたい」という願いも込められた38%なのだろうが、それに対して60歳以上の高年層は、たった6%である。
「リアルなお年寄り達VS奇跡を信じたい若者達」
という構図が、さらにハッキリしちゃったのが現在なのである。次のページ「奇跡を信じていたいと答える若者達を一方的になじるお年...
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。