ちょっと謎な商品が登場した。アサヒ飲料の「グリーンコーラ」だ。その狙いを考察してみたい。
では、今回の「グリーンコーラ」の堂々のニュースリリースはどのような意図があるのだろうか。
日本のコーラ市場においては、絶対的なリーダーが「コカ・コーラ」。永遠のチャレンジャーで、常に差別化戦略で存在を市場にアピールし、戦いを挑んでいるのが「ペプシ」(サントリー食品)だ。アサヒ飲料は、「グリーンコーラ」で、コーラ飲料の2強の一部に食い込んで、チャレンジャーのポジションを獲得したいのだろうか。しかし、コカ・コーラとペプシを合わせれば、ほぼ9割近いシェアが形成されている所に割ってはいるのは容易ではない。
チャレンジャーとして差別化をかけてくるなら、第一に「味」という王道での勝負が考えられる。
「植物由来」で「自然さ」をアピールしつつ、三ツ矢サイダーで培った「フレッシュクオリティ製法」で香気成分を高めるという。「黒ビール製造の技術を活用した黒麦芽使用」と相まって、ビール系企業ならではの味の差別化をかけてくることも予想できる。なぜなら、キリンの「KIRIN COLA」も「ホップフレーバー使用」で、コカ・コーラのような刺激よりも「後味の良さ、さわやかさ」で一部にファンを持っていたからだ。恐らく、同様なに「刺激よりも、さわやかな香りと味わい」をもって「大人の」というような差別化をかけてくることが考えられる。
「大人」という文脈では、もう一つ注目すべきなのが「“大人炭酸シリーズ”第一弾!」という表現だ。シリーズである。前述の通り、透明炭酸飲料のトップブランドである「三ツ矢サイダー」を持っているアサヒだ。キリンは回復系アミノ酸であるオルニチンやクエン酸、ビタミンB6を添加して「大人のキリンレモン」を作った。アサヒがシリーズ展開の一環で後発ながら、「大人の三ツ矢サイダー」という同質化を仕掛けることも考えられる。
少々謎をはらむ商品であるが、この「グリーンコーラ」は、商品単体で考えるのではなく、“大人炭酸シリーズ”という展開全体で考えた方が良さそうだ。その意味からも、しばらくは目が離せない。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。