映像教材・授業、ゲーム機や携帯端末を使った学習など、 いわゆるITデバイスを使った教育が増えた。 今後のITと教育の関係を考察してみる。
月刊『私塾界』2010年5月号Business World Frontierより一部抜粋・修正
矢野経済研究所「e ラーニング市場に関する調査結果 2010」によると、
◆2009 年度のインターネット・イントラネットを使用したラーニング市場は、不況に関わらず前年度比微減に留まる見込み
2009 年度の「国内eラーニング市場」全体の市場規模は、前年度比8.9%減の1,162 億円となる見込みである。しかしながら、インターネット・イントラネットを媒介とした「狭義のeラーニング市場」の規模は、前年度比0.8%減の618 億円と、不況に関わらず堅調に推移する見込みである。
◆2010 年度も、ネットワークを用いたラーニング(狭義の「e ラーニング市場」)は堅調と予測
2010 年度も、B to B については、優秀な労働力を低コストで育てたいという需要は不変であると見られ、また、B to C もコンテンツの多様化や、家庭におけるIT 化の進行等により、不況による大きな市場規模縮小はないと予測する。
という。セグメント別にみると、任天堂DSのようなゲーム機向け市場は縮小し230億円、パソコンや衛星・テレビ電話を用いた学習サービスはほぼ横ばいでそれぞれ42億円、218億円に、そしてインターネットを用いた学習サービスは、シェア拡大し73億円に(図1)。これは、映像教材や授業の導入、アップルiPodなどの携帯型デジタル機器のダウンロードサービスの伸びがそのまま反映していると思われる。
ゲーム機向け市場は縮小したと言えども、一番大きなセグメントであり、多くの子供が任天堂DSを持っていることを考えると、今後市場は堅調に推移するものと考えられる。また、インターネット経由型の学習サービスは、iPadの日本発売やクラウドの拡張・発展性を考えれば、今後驚異的に伸びる可能性がある。
iPadはアメリカで発売前から人気となり、iPhoneの累計販売台数が100万台に達するまでに要した日数74日を超すとも言われている。日本でもiPadの発売が迫っており、本国の4月3日に少し遅れて4月下旬から販売を開始する。ますます人気が集まるiPhoneやiPadだが、実は教育においても大きな可能性を秘めている(図2)。
以前、「iPadは教科書になれるか?」でお話ししたが、アメリカや韓国で電子教科書の動きが出てきた。日本でも4月に入り、「2015年にすべての小中学生がデジタル教科書を持つ」という政府目標の実現を視野に入れて、民間主導の協議会の設立に向けた準備が進められている。団体名は「デジタル教科書協議会」(仮称)(PDF)である。
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2010.05.12
2010.06.11
株式会社経営教育研究所 代表取締役
教育ビジネスのアナリスト/コンサルタント。専門はフランチャイズ(FC)とデジタル関連。個別指導FCやベンチャーなどの教育機関を経て、2009年に民間教育シンクタンク経営教育研究所を設立。教育と異業種を結ぶエデュイノベーションLLPパートナー。