エースコックのカップ焼きそば、「JANJANソースやきそば」が売れているという。カップ焼きそばの不動の3強といえば「日清焼きそばUFO」(日清食品)、「明星 一平ちゃん夜店の焼そば」(明星食品)、「ペヤングソースやきそば」(まるか食品)であった。その一角に食い込み、切り崩すことに成功したのだ。その秘密は何だろうか。
つまり、従来の商品はカップ焼きそばのユーザー層を固定化する形状であるわけだ。まるか食品の「ペヤング」という商品に代表されるように、カップ焼きそばは本来、「ヤング」がターゲットの商品であったのだ。それが、いつしか若者のニーズに合わなくなって、「若者が離れた」のではなく、「若者が手を出さなくなっていた」のである。
「JANJANソースやきそば」の意義深いところは、ターゲット層とする若者の「ニーズギャップ」を徹底して解消したことだ。
前述のPCを操作しながらの食用スタイルを実現したのもその一例。また、従来は容器の形状から、いかにも「焼きそば食べてます!」という風情を醸し出してしまっていたが、20代女性が「オフィスでも食べやすそう」というコメントをしている。商品容量は膨満感防止のために85gに抑え、しっかりとした味付けや具材に黒こしょうのスパイスを加え満足感を高めている。一方、歯に付くと敬遠されがちな青のりはあえて外しているう細かな工夫もこらしている。
ユーザーが固定されていれば、加齢と共にボリュームや味についていけなくなった者が櫛の歯が欠けるようにぽろぽろとこぼれ落ちていく。それは、焼きそばだけではなく、高齢化社会においては多くの商材で同様な問題を引き起こす。それを埋める若者層の取り込みを、「若者のカップ焼きそば離れ」などという短絡思考でとらえ、真のニーズギャップを解決しなければ問題は解決しない。
従来の常識を打ち破るチャレンジは<「トライアル、リピートともに順調」>(oricon)と同社がコメントするとおりの成功をおさめている。この事例から学ぶものは多いはずだ。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。