我も我もと企業が「コーチング」を取り入れていますが、そこに「ゆとり教育」の失敗と重なるものが見えてきます。
“ゆとり教育”に関する反省を、ひとごとではなく、自社の人材育成に照らして考えなければなりません。成果が上がらない、成長してこない、自主性がない、自立していないのは上司・部下のコミュニケーションに問題があると決め付けて「コーチング的会話」を奨励・導入する例が増えていますが、もし勉強不足・経験不足が問題なのだとすれば、教えない・詰め込まないなどというコミュニケーションは逆効果であって、そんな“ゆとり教育”をやっている場合ではありません。
また、上司の皆さんが急に見事なコーチに変身できる訳がない(能力の問題ではなく、時間的余裕や習慣などが理由で)のはやらずとも分かることで、コンセプト先行で失敗した“ゆとり教育”と同じです。昔ながらの日本の組織の、日本の上司たちのコミュニケーションを自虐的に率先して否定して「コーチングごっこ」にかまけていていいのか。無定見にそんなことをした結果、どんどんレベルが下がるだけ・・・ということにならないのだろうかと考えます。
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2010.03.20
2015.12.13
NPO法人・老いの工学研究所 理事長
高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。