頼りなげに見える新入社員の表情は、どのようにすれば社会人らしく頼もしい顔つきに変わるのでしょうか。
その頃、総務部長から関西支社のイベントでやるコメディーの台本を書けと言われ、200人以上の参加者がいるので必死で書いたことを覚えていますが、結果、泣いている人もいるくらい、協力イベント会社の人も腹を抱えているほどの大爆笑をとって、本社から来られた社長も含めて周囲からめちゃくちゃに褒められました。私の表情筋が動くようになったのは、きっとあの瞬間からだったと思いますが、仕事には関係がなくても、自信や喜びを感じるきっかけを与えることは出来ると言う事例です。
もう一つは、逆から仕事を経験させることです。仕事には一連の順番があって、普通は最初から教えていきますが、それを最後から教えるようにします。例えば、「チラシ作り→集客→訪問→提案→修正提案→受注→納品」という流れがあったとして、通常は、まずチラシ作りから学んで、それができたら訪問の仕方について・・・と経験させていきますが、これを、まず納品の場面に同席させ、次に受注の場面を横で見させて・・・と逆に経験させていきます。一連の仕事はチェーンでつながっているという考え方で、最初から経験させる指導方法をフォワード・チェインニング、最後から経験させる方法をバックワード・チェインニングと呼びます。
バックワード・チェインニングの良さは、受注や納品といった仕事の成功を早く疑似体験できることです。自分でつかんだ成功体験ではありませんが、疑似体験であっても成功のイメージが明確になることで、学ぼうという意欲を喚起すると共に、取り組む仕事の喜びや仕事の到達点を肌で感じさせることができます。やれば出来るという自信が生まれる可能性もあるでしょう。最初から順を追って経験させる方法では、このような最後の到達点や成功がイメージしにくいので、やっていることの意味が感じにくい。今学んでいることがどこにつながっているかが明らかでないので、意欲が湧きにくいという面があります。「バックワード・チェインニング」成功体験を積ませたいときに、一考していただきたい方法です
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2012.12.05
2012.12.12
NPO法人・老いの工学研究所 理事長
高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。