売れすぎて生産が追いつかず、発売後わずか2週間で一時販売休止という未曾有の事態が発生したロッテのアイス「ザクリッチ」。その流行のワケを考えると、食の新しいトレンドがチラリと見えてくる。
ここで一つ注目なのが、kizasi.jpが書き込まれた語句の成分が類似していると自動分析している話題に「桃屋」が挙げられていることだ。言わずと知れた「桃ラー」こと、「桃屋の辛そうで辛くない少し辛いラー油」だ。売れすぎて生産が追いつかず、現在も品薄で店頭で欠品が相次いでいる。
似ている語句の成分は主に「売り切れ」などであるが、書き込みの中に「サクサク」といった食感を指摘するものが散見される。手に入らないという書き込みが多く希釈されてしまうが、食感も類似成分であることは間違いないだろう。
「桃ラー」は、従来のただ油っぽいだけのラー油の概念を覆す、石垣島ラー油の流れをくむ「食べるラー油」である。味の決め手はフライドオニオン・ガーリックであり、サクサクとした食感である。ヱスビー食品が追随し、通称「エスラー」と呼ばれ、これまた欠品が相次いでいるが、そちらはさらにアーモンドを加えて食感を増している。
「とろとろ」の反動である「さくさく」や「ザクザク」の食感が求められ始めた。それに答えるが如く、ツボにはまる商品がCMで一気に認知が広がり、大ヒット・品切れとなる。さらに注目が集まる。ザクリッチも桃ラーも同じ構図だ。CMもしっかりと食感訴求をしている。「ザクリッチ」ではアッキーナの着ぐるみが食べられる「ザクザク」の効果音がしつこいぐらいに。桃ラーはロックバンド「怒髪天」の増子直純が「ザクサクやたらと!うまっ!!」と叫んでいる。
アイスとラー油という一見何のつながりもない食品が、売れすぎで欠品。その人気の秘密が食感であると、奇妙な相似形を見せているが、これは一つの小さなトレンドだと思う。
次にはどんな「ザクザク食感」が登場するか楽しみだ。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。