4月5日、3月のユニクロの既存店売上高が前年比16.4%減という発表。それを受けて東京株式市場でのファーストリテイリング株が急落。 まさかの失速の原因は何だ?復活のキーワードは何だ?
ジーンズには「プレミアム」や「ビンテージ」というカテゴリも存在する。
イタリアのブランド「ディーゼル(DIESEL)」など、2~3万円、高いものでは5万円もの価格帯の「プレミアムジーンズ」というカテゴリは、海外セレブも御用達のすっごいオシャレであることが価値だ。一方、えもいわれぬ雰囲気を醸し出すマニアな「ヴィンテージジーンズ」は一物一価でものによっては目が飛び出るような価格である。
同記事では<同じジーンズでも「ビンテージもの」と呼ばれる高級品には根強い愛好家が多く、「販売は意外と落ちていない」(業界関係者)>(同)というコメントも伝えている。
ユニクロが破壊したのは「フツーのジーンズ市場」だ。「価格」と「価値」の関係を表すバリューラインを高いレベルに設定し、競合を全て撃沈したUJだが、その「価値」とは「寝室と、ちょっとカッコイイ(もしくは、自分にぴったりな)ファッション性」である。価値基準が全く異なる「プレミアム」や「ビンテージ」には影響はない。
では、そのフツーのジーンズユーザーの実態はどうなのか。<リーバイ・ストラウスジャパンが今年1月に20~30代の男性250人を対象に行った調査によると、35・6%が「低価格ジーンズを持っている」と答えた>という。
「35・6%」を高いと見るか、低いと見るか。
筆者は前掲の記事で「すべての人々のクローゼットにUJが2~3本入っているようになるのかもしれない」と予測した。少なくとも筆者の予測は過大であったといえるだろう。
ユニクロの誤算も正にそこにあったのではないだろうか。
ユニクロの戦略の基本は「アップセリング(同種の商品の複数購入)」である。大ヒットしたヒートテックにしても、ブラトップにしても、一人複数枚。多い人では10枚以上を購入している。それが大ヒットの原動力だったのだ。そうでなければヒートテック5000万枚、ブラトップ900万枚の目標など立てられない。
大西氏は<ジーンズにそういった(CMで訴求しているような)ファッション性を人びとは求めていなかったということかもしれません>と分析している。
フツーのジーンズであれば、何も慌てて買うことはない。まして、1枚あれば十分用に足りる。複数枚買う理由がない。そんな判断が働いたのかもしれない。そこが誤算だったのではないか。
では、ユニクロはこのままへこんでいるのかというと、筆者は全くそうは思っていない。
前述の通り、ユニクロの価値パターンは「アップセリング」である。まとめ買いと買い増し。正にそれに最適な商品が発売されている。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。