みなさんは、とりあえず最初の会社に入った。その会社は、第一志望だったかもしれないし、失意の結果そこに行かざるをえなかった会社かもしれない。しかし本当の勝負はこれから……
そう、土井さんがこう指摘するように、1つの実績や伝説をつくってから得るキャリアの選択肢のほうがはるかに大きくなるのです。つまり“大きな自由”は、いまいるその場所で何かの結果を出す後にやってくる。
とはいえ、与えられた仕事は、当面、つまらないかもしれない。苦手な内容かもしれない。そして、それが未来永劫に続くのではないか、と思えるかもしれない。そんなときはこの言葉を思い出してほしい。
○「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。
そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ」。
―――小林一三(阪急グループ創業者)
人生長い目で見て、ダメな人は、やはり仕事をダメなまま流してやる人です。頭角を現す人は、些細な仕事を大きな仕事へとつなげていく人です。
要は、下足番のままになり下がるのも、それを極めて次の大きなステップに自分を押し上げていくのも、すべては本人の「状況創造」「状況対応」次第ということです。
そうしたことにチャレンジして、ある結果を出すために、まずは3年という月日がかかる。そんな時間単位を念頭に入れながら、しぶとく明るく頑張ってください。
3■意味を見出せ。目的の下に生きよ
入社してからしばらくは担当業務を一人立ちしてこなせるようになるために
知識やスキルを覚えることに忙しい日々が続く。そしてある程度仕事がこなせるようになると、組織から目標が与えられ、その目標達成に向かって忙しくなるはずです。そして自分の知識・スキルが習熟してくるにしたがって、目標レベルも高くなり、ますます忙しくなるでしょう。……こうして、20代、30代というのは、実はあっという間に過ぎ去るものです。
ここで厳しい言い方をすると、忙しく働くというだけなら、それは簡単なことですし、自慢にもならない(アリやミツバチだって忙しい)。
問題は―――「何に(何のために)忙しくしているのか?」です。
しかし、この「何に忙しくしているのか?」という問いに対する答えは、多くの人が持っているわけではない。試しに、職場の先輩や上司に訊いてみてください。明快な返事が返ってくる方が少ないと思います。
○「目的とは、単なる概念ではない。生き方である。
人生は“すること”でいっぱいで、
“やりたいこと”が何であるかに耳を傾ける余裕もなかった」。
―――ディック・J・ライダー『ときどき思い出したい大事なこと』
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2010.03.20
2015.12.13
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。