「美人すぎる市議」藤川優里さんを振り出しに、海女、釣り師、ゴルファーなどさまざまな職業に広がる「美人すぎる●●」。なぜ私たちは「美人すぎる●●」にひかれてしまうのだろうか。そのワケを考えてみよう。 [郷好文,Business Media 誠]
これは大分県在住の板井麻衣子さんが、2010年のミスユニバース日本代表に決定した日の日刊スポーツ(2010年3月10日付)の見出しである。板井さんは2009年末まで大分市役所に勤務していた美人すぎるパブリックサーバント(公務員)。ミスには馴染みのなさそうな職場とのミスマッチ感から、この見出しになったのだろう。
釣られて、つい動画までじっくり観てしまったじゃないか。「和っぽい美人じゃん」「元公務員ねえ……」。男は美人に弱い。私も弱い。「美人なのか」「美人すぎるのか」と、日刊スポーツの見出しから画像・映像ニュースへ行き、ブログに書いたり、Twitterでつぶやいたりというような連鎖が生まれている。それにしても「美人すぎる●●」フレーズ、賞味期限が長いなあ。
美人すぎる●●フレーズの魔力
「美人すぎる公務員」には、その職能標準から逸脱した価値がある。世間の持つ公務員への印象は「高学歴」「マジメ」「地味」「長時間労働」「薄化粧」の合体的なものであり、容姿は評価基準にならない。「どこそこの会社の受付嬢は……」という会話は成立するが、「●●市役所の案内係は…」という話はあまり聞かない。退職してミスユニバースに挑戦するだけでも衝撃の事件性がある。さらに選抜されたことで、公務員業界に衝撃が走った。
「あたしたちもやれるかも」「ウチの役所にもいる」
今後、美人すぎる公務員が各地で発掘され、市役所の窓口が混雑しないとも限らない。そんな二次ブームの予言はテキトーだが、DVDまで発売した八戸市議会議員の藤川優里さんを振り出しに、美人すぎる海女、美人すぎる釣り師、美人すぎるバイオリニスト、美人すぎるウクライナ首相などずらり。このフレーズにはなんだか魔力がある。
なぜ「美人すぎる●●」に私たちはひかれるのか? どうやら日本人の深層美意識にも突き当たるようなのだ。美人を売るマーケティング・コミュニケーションを理解し、日本人の感性を知る良い事例。どうか付いてきたまえ。
フレーズにぐっとくる理由
フレーズ「美人すぎる●●」にぐっとくる理由は何だろうか?
まず「美人」という単語の絶対的なパワーにある。美は千差万別、審美眼は人それぞれ。ミスユニバースへの感想がさまざまであるように、美人基準は人により違う。だが個々人で、何かしら絶対的な基準がある。だから美人を探し、語り、平伏したくなる。
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